有機野菜購入のメリットは何?知っておきたい農薬との関係

メリットがあればデメリットがある。長所だけの人はいないように、何らかの短所はあるものです。でも中にはメリットすらあまり感じられない高額商品もこの世には存在している。その代表が、”有機野菜”だとしたらあなたは何を思われるでしょうか?
■目次
1、有機野菜の明確なメリットは!?
2、有機野菜と農薬・大きな誤解とは?
3、使用許可の化学合成農薬の中身とは!
4、使っているのに使っていないことに!
5、安全性で選ばれているのではない!
6、宅配業者の農薬表示も詳細不明の現状
7、農薬なしのメリットを享受できる野菜は!?
有機野菜を食べるメリット。
自然で安全、健康な野菜が有機野菜。そんな風に言われているので、実際に買ってみようと思っている。でも、
具体的なメリットがイマイチよく見えない。
どうせ買うなら納得も得心もいった状態で、購入するメリットをハッキリ理解してからにしたい。そのように思われている頃かもしれません。
有機野菜の長所をしっかり把握した上で購入する、それは実に大切な姿勢です。多くの人は自分の頭でしっかり理解することなく、世の中に流布しているイメージや業者の宣伝文句を疑うことなく受け入れ鵜呑みにしてしまう。
その結果、自然とも安全とも、とても言い難いような中身の乏しいものに高いお金を出し続ける。こんな事態がこの先ずっと続いてしまうからです。
有機野菜はその実態を置き去りにして、良いイメージばかりが先行している。このことも拭い切れない事実ではないかと思うのです。
ご承知の通り、有機野菜の値段は一般の野菜よりも1.5倍~3倍、それ以上するものです。有機加工品に至っては何十倍もすることだって珍しくありません。
高額食材に投資するわけだから、有機野菜を食べるメリットとデメリットとをきちんと見極めること。その上で購入するかどうかの判断を行う。
この順番が大切になるのです。
そこでココでは、明確な判断基準と理由を持って安全な野菜を選択できるように、自然食業界歴15年の業界OBである管理人の私・茶太郎が有機野菜のメリットとデメリットについて、できるだけ簡単に解説してみます。
■有機野菜と農薬の関係は!?
農薬のリスクがない。
農薬の危険は盛んに言われているし、その恐ろしさは実際に使っている生産農家自身が最もよく知っています。
農薬を散々使った農業の結果、自分や家族が健康を害してしまった。できることなら、こんな危険なものを使わずに栽培したい。そう思って無農薬栽培に取り組み始める人が多いのです。
個々の野菜に残留する農薬の量は微量なものかもしれません。でも、食べるとは毎日のことなのでチリも積もれば山となってしまう。
だからこそ農薬の不安のない有機野菜を選ぶことが大切。多少価格は高くても、安心というメリットには代えられない。
多くの人がこのように思って有機野菜の宅配などを取り始めるのです。
有機野菜とは、国が定める有機JAS法に準拠して作られた野菜で、国が認めた認証機関のチェックに合格しなくてはなりません。その過程を経て初めて有機野菜を名乗り、販売することができるのです。
このように厳重な工程を経て売られているわけだから、当然農薬が使われていない野菜と思うことでしょう。
でも実際は、30種類以上の農薬使用が許されているのです。有機野菜は無農薬野菜、それは事実に反したイメージなのです。
使われる農薬は基本的に、天然系の農薬。食酢とか木酢液とかマシン油など、いわば漢方系と呼ばれる農薬です。化学合成農薬の使用は基本的に許されていないのです。
でも、それはあくまで基本であって例外もある。”やむを得ないと判断した場合には、化学合成農薬の使用も認められる。
”有機”と書かれた野菜はこのような決まりになっているのです。
■どんな化学合成農薬!?
有機JAS法において、やむを得ない場合にのみ使える化学合成農薬。それらはどんなものなのか?
参考までに挙げておくと、
硫黄くん煙剤、硫黄粉剤、硫黄・銅水和剤、還元澱粉糖化物液剤、食酢、水和硫黄剤、生石 、性フェロモン剤、石灰硫黄合剤、炭酸水素カリウム水溶剤、炭酸水素ナトリウム水溶剤及び 重曹、炭酸水素ナトリウム・銅水和剤、展着剤、天敵等生物農薬・銅水和剤、銅水和剤、銅粉剤、二酸化炭素くん蒸剤、メタアルデヒド粒剤、硫酸銅、燐酸第二鉄粒剤並びにワックス水和剤
このようなものになっています。
これで終わりかというとそうではない。その他の合成農薬も必要と判断されれば農水大臣の定めに応じて、後から追加できるようになっているのです。
でも、”やむを得ない場合”ってあるから、
最後の最後、奥の手として使われるだけなのでしょう?
そう思いたいところではありますが、どんな場合がやむを得ないのか?詳しく書かれていない。明確になっていなければ、どんな場合だってやむを得ないことになる。
虫や菌がひとたび発生すればそれはやむを得ない事態。そのまま放置すれば作物は全滅しかねないわけだから、やむを得ない。使用を許可された化学合成農薬を散布しても良い、こんなことになるのです。
理由を問われれば、
”止むを得なかったから”
とだけ答えればよい。このようにいくらでも言えてしまうほど、極めて緩い規定、いわばザル法になっているのです。
でもいくら緩い規定でも、買う際に、
”その旨が表示されていれば選べるよね”
そう思われるかもしれません。
”私は無農薬の有機野菜だけを食べたい!”
”私は天然自然系の農薬を少しだけ使ったものなら許容範囲”
”化学合成農薬を何回も使っているなら、いくら有機でもちょっとね~”
このように買う側が判断できるのならまだ良いのでしょう。でも実際は、
使われた農薬の情報を公開する義務は一切ない。
この有機野菜は木酢液を5回使ったもの。この有機野菜は法律で許された化学合成農薬を10回使ったもの。この有機野菜は農薬を一切使わずに栽培したもの。
このような表示があれば判断もできるのでしょうが、農薬情報を公開する義務は一切ない。今手にしている有機野菜にどんな農薬が使われているか?
サッパリ分からないまま、購入せざるを得ないのが現状です。
■使わなかったことにできる!
最近よく見かける野菜に、”減農薬・低農薬”と書かれたものがあります。無農薬とまではいかないものの、
”安全性に配慮した野菜なんだな”
多くの人がそのように思われていることでしょう。でもどんな野菜が低農薬・減農薬なのかといえば、
半分以下。
その地域で標準的に使われる農薬回数の半分以下に農薬使用を抑えたら、”低や減”を名乗って良いことになっているのです。
トマトには概ね50回くらいの農薬が散布されるので、”低・減農薬”と名乗るには25回以下に散布回数を抑えればよい。減農薬・低農薬の野菜は半分と思っておけば良いのです。
でも、そこにも不可解な特殊規定があって、有機JAS法で許可された農薬は使用回数にカウントしなくて良い。こんなルールになっているのです。
例えば、ボルドーという野菜から果樹まで幅広く使われる農薬があります。ボルドーは硫酸銅を原料にした水溶液ですが、有機JAS法で許可された農薬です。
そのボルドーだけを仮に50回散布してブドウを栽培したと仮定しましょう。ボルドーは農薬使用回数にカウントしなくて良いことになっているので、使用回数は0回。本当は50回使っているのに、
”農薬ゼロ!”
そう鼻高々に謳って販売できてしまう。このような抜け道とカラクリが用意されているのです。
■問い合わせてみても・・・
なぜ有機JASで許された農薬は、使ったのに使わなかったことにできるのか?
この特別優遇措置には全く納得がいきません。有機JAS認定の農薬は、
”安全性が高いからなのか?”
そうとしか理由が思いつかないので、農水省の担当課に問い合わせたところ、
”安全性を考慮して選んでいるわけではない”
との回答。あまりに素直な回答だったので、こっちも拍子抜けしてしまいました。これらの農薬は安全性ではなく、栽培の都合や国際貿易を円滑に進めるために選ばれているに過ぎないもの。
使ったものを使わなくすることができる、魔法の農薬が有機JAS認定農薬。使っていないことになるわけだから、農薬情報を公開しなくてよい。
有機野菜は無農薬である、この間違ったイメージを多くの人が抱いてしまうのはこのカラクリに理由がある。有機野菜は農薬の心配がない、それは実態とはかけ離れたイメージに過ぎないわけなのです。
また”天然由来の農薬だから安全”、そう思ってしまいがちですが、そんなこともありません。使えば虫が死に、菌が死ぬわけだから天然・自然由来農薬だからといって安全とはならない。
化学合成農薬は危険で、天然農薬は安全、そう単純なものではなくどちらも立派な農薬。分けて考えること事態に意味がないのです。
■有機宅配業者も正体不明!
有機野菜をあなたが購入するメリットは何か?
一般野菜より3倍も高いお金を出して得られるメリットはあるのか?
自分には正直、思いつきません。農薬が心配で有機野菜の購入を検討しているなら、正直思い留まった方が良いでしょう。
有機野菜の宅配業者がこうした農薬表示の問題をしっかり把握して、進んで農薬散布情報の公開を行っているならまだしも、そのような宅配業者は見当たりません。
大手の有機野菜宅配業者のどのカタログを見ても、
有機野菜なら「有機」、減農薬・低農薬野菜には「減」と「低」
このような詳細不明の表記しかされていないのですから。
どの宅配団体も、使われた農薬の種類や回数を買う側に知らせるといった最低限の措置も行っていないので、あなたの高額な投資が本当に生きたものになるのか?
疑問が拭えません。メリットが少なく、値段が高いなどのデメリットが多いものと言えるでしょう。
有機野菜だから安全、ウチは○○に頼んでいるから、そう詳細を知ることなく思い込んでしまうのはリスクが高い。
そう言わざるを得ないのが有機野菜や自然食を巡る現状というわけです。
それなら、本当に安全で農薬の心配なく食べられる野菜はどんなものなのでしょうか?もしあなたがそのような野菜を食べたいと思うなら、「自然栽培」の野菜がオススメ。
自然栽培の野菜ならどれをとっても無農薬。
自然栽培は農薬を必要としない栽培方法だからです。
■自然界は常時無農薬!
野菜を育てるのに、肥料を使う。誰もが当たり前にしている常識です。
でもそれは田畑でのみ通用する理屈で、自然界に生きる植物には無縁なものでもあるのです。
自然界の植物に、人が肥料を与えているような場所はどこにもありません。化学肥料はもちろんのこと、有機肥料ですら使われることはないのです。
肥料とは植物の三大栄養素である「窒素・リン酸・カリ」を凝縮して詰め込んだ栄養のカタマリ。いわば満点の栄養剤を作物に与えて、自然の成長スピードを速めるために用いられるもの。
速く大きく成長させるために使われるのが肥料なのです。あとは、化学の力で作られた化学肥料か?自然由来のもので作った有機肥料か?
その差に過ぎないわけなのです。
肥料の力で無理やり大きく・速く成長させられるので、どうしても作物の体内に無理が生じてしまう。
細胞は1つの細胞から次の細胞へとち密に分裂していくものなのに、速度を速められるため細胞分裂の過程がどうしても荒くなる。
姿は素早く大きくなるけれども中身がついてこない。栄養価も作物の体内での生成が追い付かず、糖度もビタミンも、酵素類も本来のものにはならない。
また、植物の細胞の一番外側は細胞壁という硬くて暑い強靭な壁で囲われてるのですが、その生成も追いつかない。
肥料という大量の栄養のカタマリを与えられ、その分解ばかりに体内資源を使われてしまうので、細胞壁が薄くもろく弱くなってしまう。
細胞壁が弱ければ虫にかじられやすくなり。そこから病原菌が細胞内に侵入し、内部をドロドロに溶かしてしまう。
こうして虫にやられやすく、病原菌に侵されやすい野菜となってしまうのです。その結果。化学合成であれ天然由来であれ、農薬を使わざるを得なくなる。
有機であれ、化学であれ、肥料を使うからこそ農薬が必要になってしまうのです。肥料を使うメリットは、野菜を速く・大きく育てることができる。
デメリットは虫や病原菌に侵されやすく、農薬を使わざるを得なくなる。
自然界の植物が虫や病原菌にやられにくいのは、肥料という栄養のカタマリを与えられていないから。自然界の植物は太古の昔より、無肥料・無農薬のものなのです。
肥料も農薬も使わない自然栽培の野菜は、自然界の植物がどうして農薬も肥料も使わないのに元気に育つのか?絶えることなく生命を繋ぎ続けられるのはなぜなのか?
この点に着目し、その原則を田畑で応用する農法です。
有機肥料も、化学肥料も一切使わないので、当然無農薬で栽培できる。虫が来ても負けない、病原菌の被害にも遭わない。
このような力強い野菜を育てることができるのです。だから自然栽培の野菜が無農薬であるのは当たり前のことなのです。
無農薬の野菜を食べたい。
農薬の不安を感じることなく安心して野菜を食べたい。
そんなあなたにピッタリの野菜なので、ぜひ自然本来の味わいや歯ごたえを試してみて!
以下に、肥料も農薬も一切使わない自然栽培の野菜を購入できる宅配・店舗リストを紹介しておくのでぜひチェックしてみて!
■肥料も農薬も一切使わない自然栽培の野菜を購入できる宅配&店舗リスト
■このページのまとめ
・有機野菜のメリットは無農薬、それは誤解 ・有機野菜は天然由来の農薬使用を基本としつつも例がある ・有機野菜には条件付きで使ってよい化学合成農薬が定められている ・有機野菜に使われた農薬の情報は公開しなくても良いことになっている ・有機JAS法で許可された農薬は使わなかったことにできる特別措置がある ・有機野菜の宅配業者も進んで使われた農薬情報を公開しているところはない ・無農薬の野菜を食べたいなら肥料なし農薬なしの自然栽培の野菜がオススメ。 ・農薬は田畑でしか使われず、自然界の植物には一切使われていない |
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