有機野菜の宅配比較・ムダな投資を防ぐ前の大切な質問は!?

比較検討は物事を判断する上で大切なものですが、比較の前に目的を明確にしておくことが大切です。有機野菜の宅配業者を比較する前に、問うべきことは何か?今回はそんなお話です。
■目次
1、有機野菜の宅配・比較の前に!
2、有機肥料は本当に自然で安全か!?
3、有機野菜に農薬のリスクはあるの!?
4、有機肥料と畜産業の密接な関係とは!?
5、有機野菜は生食に向かない理由はココ!
6、有機肥料のこんな健康リスクの実態は!?
7、野菜が腐る仕組みはこう!肥料との関係は!
8、土の力を最大限引き出す農法に注目せよ!
9、不純物を入れずに不純物の残がいを除く!
10、自然栽培野菜を食べる長所と短所の両面確認!
11、有機野菜の宅配と比較検討でわかることとは!?
有機野菜の宅配を比較検討してみる。
食材の安全性はもちろんだけど、他にも気になることがいろいろある。
価格もそうだし、お得なセットはあるのかどうか?送料や配送日、決済方法なんかも気になるもの。重い腰を動かして、安全な食材を取り始めたは良いけど、長続きしなければ意味がない。
食べたものが血となり肉となるのだから長くお世話になることが大前提!
ウチにピッタリの宅配はあるのかしら・・・。
こんな風に思われているのではないでしょうか。でも、実際の宅配業者を比較する前に、質問があります。
なぜあなたは有機野菜の宅配を始めてみようと思ったのでしょうか?
「健康によさそうだから・・・」
「安全で安心、自然な野菜だから・・・」
「化学肥料や農薬が怖くてイヤだから・・・」
このような答えが返ってくることでしょう。では、同じ質問を私にしてみてください。私の有機野菜へのイメージを言うなら、
「気持ち悪い」、「得体が知れない」、「中身の割には値段が高い」
このように答えることでしょう。
“安全な野菜と言えば有機野菜!”そう決めつけてしまうと、マイナス面が見えにくくなってしまうのです。
有機野菜は一般の野菜に比べて、1.5倍から3倍くらいの値段がするものです。そんな高額な野菜であるにも関わらず、その実態は得体が知れず、気持ち悪いものだとしたらどうでしょう?
有機野菜とはどんなものか?その実際の姿を知ることなく、いきなり宅配業者を比較し選んでしまうのはいかがなものか?
どうしても有機野菜を食べたい!有機野菜でなければ絶対イヤ!
よく理解した上で、宅配業者を比較し取り始めるのなら良いのでしょう。でも、あなたが手にしたい野菜は有機野菜というよりはむしろ、
自然で安全な野菜なのではないでしょうか?
有機野菜が安全な食卓づくりを願うあなたの期待に果たして沿うものなのかどうか、私の話を聞いてから判断しても良いのではないでしょうか?
私は自然食業界に15年ほど在籍し、大手の有機野菜の宅配業者でも勤務しました。そんな私の経験や知識が、あなたの安全な食卓づくりの一助になるのではないかと思い、以下に有機野菜の問題点を述べてみたいと思います。
■有機肥料とは何か?
有機野菜が何であるか?
それを知るには、「肥料」についてカンタンに押さえておくと良いでしょう。
肥料とは、植物の三大栄養素の「窒素・リン酸・カリ」を凝縮したもの。いわば栄養のカタマリ、そのように言えるのです。
人の三大栄養素は、「糖質・脂質・タンパク質」ですが、植物にとってのそれは「窒素・リン酸・カリ」、記号で言えばN・P・Kとなるのです。
化学肥料は人工物で、自然界には存在しない物質。化学の力で三大栄養素を不純物を徹底排除したもの。
有機肥料は牛や鳥、豚などの糞などを使っているもの。化学肥料に比べて純度が粗いもの。
比較すると、このように分けられるのです。
化学肥料は植物の三大栄養素を混じりっ気なしに純粋に固めているので、使えばよく効く。即効性があり、与えれば作物はグングンと成長していきます。
でも、有機肥料は化学肥料に比べて純度が粗い。栄養素の中でも窒素は肥料の中心なのですが、牛糞に含まれる窒素成分は0.3%~1%。鶏糞だと3~5%、豚糞は2~3%。
あまり豊富に含まれていないので、どうしても使う量が多くなってしまう。300坪の土地を農業では一反と言いますが、そこに何トン、何十トンもの家畜の糞などが入れられてしまう。
その結果、野菜に様々な不具合が生じ、それを食べる私たちの健康を蝕んでしまう。こうしたことが指摘されるのです。
有機野菜が人体に与える影響を羅列してみると、以下のようになります。
■有機野菜が人体に与える影響1
「農薬のリスクがある」
有機野菜には使用を許可された農薬が30種類以上あります。”有機イコール無農薬”、一般には広くそう思われていますが、決してそうではありません。
有機で認められている農薬なのだから安全性を考慮して選ばれているはず!そう思いたいところではありますが実際は栽培上の都合や国際貿易をスムーズに進めるために選ばれているのが実情です。
最大の問題は、有機野菜を買う側の私たちには使われた農薬の情報が分からないこと。何を何回使ったのか?情報を公開する義務がないので、サッパリ分からないことにあります。
使用を許された農薬の散布回数制限はないので、たとえ100回使っても「有機野菜」を名乗り、高額で売ることができる。
ただ単に有機野菜と書かれているだけで、正体不明。大手の有機野菜の宅配団体のいずれも表記は「有機」とだけ書かれているのみで、使われた農薬の散布情報を知ることができないのが現状です。
無農薬で作られた野菜を食べたい。
農薬を使っていても安全性の高いものを少量だけ使った野菜を食べたい。
あなたがいくらそう思っても、選ぶことができないのが現状です。高額な野菜を販売するのだから大手宅配業者には、最低限の農薬情報を公開する必要を感じます。
(■参考:『有機野菜の宅配選びは2つの重要ポイントをチェック!』)
■有機野菜が人体に与える影響2
「家畜の糞の中の残留物の不安」
有機野菜に使われる家畜の糞には様々な薬剤や重金属の残留が問題になります。現在の畜産業は薬剤依存型の産業になり果てているので、糞には抗生物質やホルモン剤、亜鉛、銅、鉛、マンガンなどの重金属の残留が認められます。
また遺伝子組み換え飼料を食べた家畜の糞も問題になります。
有機肥料として使わるた家畜の糞を残留物ごと作物が吸い上げてしまいます。食物連鎖の過程で抗生物質やホルモン剤が濃縮され高濃度になっていくことからも、有機肥料はしっかりとした管理の下に使う必要があるものです。
でも現行の有機JAS法では、有機肥料に含まれる残留物についての規制はなく野放しなのが現状です。有機野菜を食べるなら使われた肥料がどんなものであるか?
有機肥料の情報公開も徹底する必要性を感じます。
また有機野菜の宅配では、有機ばかりではなく減農薬・低農薬と言われる野菜も売られています。最近は川底に沈殿するヘドロ(汚泥)を田畑に肥料として再利用することも行われています。
汚泥肥料といわれますが、合成洗剤や重金属などが含まれているので、不安の声も高まっているのです。
有機農産物への汚泥肥料の使用は禁止されていますが、減農薬・低農薬の野菜やお米には何ら規制がないわけです。有機野菜の宅配を検討するなら、こうした不安があることも知っておくべきでしょう。
改めて、宅配業者には野菜に使われた細かな肥料の情報公開を求めたいところです。
■有機野菜が人体に与える影響3
「有機肥料の未熟さへの不安」
有機肥料に使われる家畜の糞尿は、言わずと知れた汚物です。そうである以上は長期に熟成させ、無害化することが大切になります。
汚物にはそれ相応の病原菌や寄生虫などが多く含まれているので、しっかり発酵させて熱による殺菌処理を施す必要があるのです。
でも、単に有機肥料というばかりでその中身は一切分からない。どのくらいの時間をかけて熟成させた有機肥料なのか?
それへの規制も情報公開の義務もないので、有機肥料の熟成度合いを私たちは知ることができないのです。中には糞のニオイが収まれば使い時!かなり未熟な状態で土に投入されているケースもあります。
それどころか一切寝かせることなく、生のような状態で土にバラ撒かれるケースもあるのです。
有機肥料を使った野菜をサラダで食べるのは危険、そう指摘する声もあります。感染病の不安が拭えないので、有機野菜を食べるなら、
”必ず火を通すように!”
そう警告する研究者もいるのです。
有機野菜の宅配を始める以上は安全で自然な野菜をサラダでたっぷり食べたい、そう思われている人も少なくないことでしょう。
でもその際は、使われた有機肥料がどんなものであり、どのくらい寝かせ熟成させたものなのか?食べる前に把握しておく必要があります。
でも、大手を含めた有機野菜の宅配業者で使われた肥料の情報を公開しているところはありません。ただ「有機野菜」と書かれているだけで、中身がサッパリ分からないのです。
「有機は化学栽培に比べて気持ち悪い」、そうした声があるのも肥料の管理が分からず、情報もほとんどないため。
宅配業者を比較するなら、詳細な肥料情報を公開しているのかどうか?この点に注目し、厳しい姿勢で情報に接することが必要になるのです。
(■参考:『有機野菜の宅配選びは2つの重要ポイントをチェック!』)
■有機野菜が人体に与える影響4
「発ガン性・アレルギーなどへの不安」
有機肥料は化学肥料に比べて即効性がありません。そのため作物を大きく速く成長させようと、土にたくさん投入されるケースが珍しくありません。
有機肥料の効果は後でジワジワゆっくりと効いてくる。化学肥料をウサギに見立てれば、有機肥料はカメになるのです。
有機肥料の場合、最初の1,2年はさほどの効果は見られません。そのため肥料を効かせようと量を踏まえず、多く使ってしまいやすい。それが3年を経過する頃には、化学肥料と比較しても遜色ないレベル、それ以上の肥料効果が発揮されるのです。
化学肥料は作物も吸い上げますが、それ以上に蒸発したり、地下に流れてしまったり、流出しやすい特徴がありますす。
でも有機肥料は土が成分をつかみ、いつまでも持っていてくれる。持っている分が徐々に放出され、作物の根から吸い上げられていく。土の中の肥料成分が蓄積されているほどに、作物はたくさんの肥料分を吸い上げることになる。そのため、
「硝酸性窒素」
と言われる物質のリスクが高くなる傾向が見られるのです。
肥料の軸は窒素肥料なのですが、これを使うと葉や茎を速く大きくすることができます。植物にとって窒素肥料は貴重なものなので、周りにあればあった分だけ根から吸い上げてしまうのです。
植物は窒素肥料を体内で分解することで、自らの成長に必要なタンパク質や酵素などを作り出します。でも窒素肥料が多いと分解作業が追い付かない。
その未分解の状態にある窒素肥料を硝酸性窒素と呼ぶのです。
硝酸性窒素が野菜の中に残留していればいるほど、発ガン性のリスクが高まることが指摘されます。野菜は”肉の毒消し”のように食べられるため、肉と野菜はセットで食べられるケースが多いのです。
グリーンサラダなんてありますが、硝酸性窒素は葉に多く残留しやすいものなのです。
肉の中に含まれるタンパク質と硝酸性窒素が胃の中で混ざり合うと、「ニトロソアミン」という強い発ガン性を持った物質が生み出されます。
肉と野菜、魚と野菜、この組み合わせが発ガン性のリスクを高めてしまうのです。
硝酸性窒素は水に溶けやすい性質があるので、葉野菜を食べる際は湯通しすることでリスクを軽減できます。でも有機野菜をグリーンサラダのような形で食べるのはリスクがあるというわけです。
また、硝酸性窒素が過剰に残留している野菜を食べ続けると、アレルギーやアルツハイマー、糖尿病などの原因になることも指摘されています。
さらには離乳食で赤ちゃんに硝酸性窒素の残留度の高い野菜を与えると、窒息を起こしやすくなる。実際に死亡例も報告されているのです。
有機肥料だから安全、有機は自然物を使うから安心、そうはならないことをしっかり踏まえておく必要があるのです。
(■参考:『有機野菜の離乳食・赤ちゃんが葉野菜で窒息死する!?』)
■有機野菜が人体に与える影響5
「腐りやすく溶けやすい野菜になる」
有機であれ、化学であれ、肥料を与える限り、虫や病原菌の被害を逃れることができません。化学合成のものであれ、自然由来のものであれ、農薬を使わざるを得なくなってしまうのです。
肥料は窒素を軸にしていますが、植物はそれを根から吸い上げ、体内でアミノ酸に分解します。そしてアミノ酸を起点にタンパク質や酵素などを作り出していくのです。
窒素肥料を多く与えた野菜ほど体内にアミノ酸が多くある。アミノ酸は虫や菌にとっては”最高のエサ”。そのため窒素肥料過剰な野菜目がけてやってきて、瞬く間に蹂躙していく。
そのまま放置していては収穫ができず、出荷もできなくなるので、殺虫剤・殺菌剤を何度も撒かざるを得なくなるのです。
窒素肥料を多く与えた野菜は、残留農薬のリスクがある。肥料を与える限り、農薬は手放せないものになるのです。
野菜が腐ってしまうのは日常よくある光景ですが、それは菌が野菜の内部に侵入し、内部をドロドロに溶かしてしまうことで起こります。病名は「軟腐病」と呼ばれています。
でも野菜を含めた植物は本来、虫や病原菌を跳ね返すだけの防御設備が備えられているものです。「細胞壁」や「クチクラ層」、各種分泌液などがそれに当たります。
中でも細胞壁は外敵の侵入を防ぐための主力の防御機関といえるでしょう。
植物の細部壁の強度はスゴイものがあり、人が食べても消化できません。そのまま排泄されてしまいます。牛が4つの胃袋を持つことは有名ですが、それは植物の細胞壁を分解するためのものと考えられる。
4つの胃袋を備えて初めて消化吸収できるほど、細胞壁は強靭なものなのです。
でも、有機であれ、化学であれ肥料を与えてしまうと、細胞壁の強度が低下してしまう。細胞壁は強靭な壁なのですが、肥料を過剰に与えてしまうと強度が極端に落ちてしまう。
その結果、虫に齧られ、そこから菌が細胞内に入り込み、内側を溶かし腐らせてしまうのです。
※細胞壁が肥料で弱体化する工程は以下を参照してください。
『有機野菜はひ弱で脆い?延命措置を繰り返す理由とは?』
肥料を使う限り、農薬を使わざるを得なくなる。有機であろうと、化学であろうと、肥料が無農薬での栽培を妨げる元凶になってしまうのです。
■肥料も農薬も使わない!
以上5つのポイントから、有機野菜の問題点を指摘しました。それでもあなたは、
有機野菜を選びたいと思われるでしょうか?
思われるなら、それは各自の判断なのでこれ以上申し上げるつもりはありません。ただ一点、有機野菜というイメージの良い言葉を鵜呑みするのではなく、使われた農薬の種類とその回数、使われた肥料の種類と量、熟成度など。
これらを買う側が事前に把握できるまで情報公開を徹底している宅配業者を探してみることをオススメします。でも、
「有機は高いお金を出してまで買う必要はないな」
もしあなたはそう思われるのなら、提案があります。それは有機野菜の宅配システムを比較する際の選択肢の1つに自然栽培の野菜も加えてみては?
これが私からの提案になるのです。
”自然栽培の野菜?聞いたことがないな”
”聞いたことはあるけど違いがよく分からないな”
そんな風に思われるかもしれませんので、カンタンに説明してみます。
自然栽培とは、有機肥料も化学肥料も一切使わず、化学合成農薬も自然由来の農薬(木酢液やニーム)なども一切使わず、無肥料・無農薬で栽培する農法のことです。
この自然栽培の野菜なら、上で述べたような肥料にまつわる様々なリスク、残留農薬の心配なしで食べることができる。いまだ栽培の担い手は少ないのですが、
”本当に安心して食べられる野菜を選びたい!”、そう心から願う人々から支持を集め、栽培の担い手も着実に増加し続けているのです。
自然栽培とは読んで字のごとく、自然界に生きる植物の仕組みを理解して、それを田畑に応用する農法です。いわば自然の植物を教師にして、学んだことを田畑で実践する栽培方法といえるでしょう。
自然界の植物には肥料も農薬も一切使われていません。にも関わらず、植物は栄養失調で枯れてしまったり、虫食いや病原菌の蔓延で全滅するようなことは起こらないのです。
■土への考え方は!?
有機栽培も化学栽培も、「農学」という学問を教師にした農法ですが、自然栽培の教師は自然界。
比較するとこのような図式になるのです。
農学という学問においては、土には作物を育てるだけの力がないと規定されています。土に養分がないから、有機や化学の肥料を与えて、作物を育てようとする。
土は根っこを支えるだけのもの、そのようにしか考えられていないのです。
一方の自然栽培において土は、
栄養のカタマリ
と考えられている。土は完全栄養で無尽蔵のもの、だから人がわざわざ肥料を与える必要など一切ない。必要ないどころか、肥料を使うほどに負の連鎖を止められなくなってしまう。
自然栽培は土を無尽蔵の植物生産工場と考える農法なのです。
作物は肥料が育てるのではなく、自然の土が育てるもの。自然の土の力を最大限発揮させるには、土とはどんなものか?土は何からできているのか?
この点を明らかにする必要があるのです。
自然の土は、そこに生きる植物たちの残骸を原料にして作られていることが分かります。地上部分では落ちた葉や枝、朽ちた幹など、地下部分では張り巡らされた根っこの残骸。
土の主原料は、そこに生き、生命を終えた植物から作られているのです。葉や茎が土に落ち、そこに雨と太陽光線と地熱が加わり、そこに生きる微生物たちの働きで新しい土は作られていきます。
自然界が表土1センチの土を作るのに要する時間は、日本のような温暖地帯では100年~150年。途方もない時間をかけて新たな土は作られているのです。
当然、そこに生きる動物や昆虫などの死骸や糞尿も材料になりますが、その含有量としては極めて少ない。自然の土の主原料はあくまで植物なのです。
このことを踏まえて自然栽培では、土に不純物を一切投入しない。有機肥料で使われる家畜の糞尿や魚粉、油粕、米ヌカを発酵させたボカシ肥料などはすべて不純物。
その畑で収穫された野菜の残骸や朽ちた根、そこに生きた雑草たちのそれ以外を一切土に投入しない農法です。
その野菜や雑草の残骸も土に混ぜ込むのではなく、表土に置くだけ。耕す際には、必ず枯れてからにして青い状態のまま土に混ぜ込まない。自然界の植物が青い状態のまま土の中に入るようなことは決して起こらないものだからです。
このように不純物を投入しないことで土が本来持つ力が引き出され、素晴らしい作物を収穫できるようになっていくのです。
過去に有機や化学肥料を使った栽培を行っていた畑では、土の中にある残留肥料や土にしみ落ちた農薬の成分を除去することも同時に行います。
不純物を新たに入れず、過去に入れてしまった不純物を土から除くことで、本来の土に備わった強力なパワーを時間をかけて引き出していくのです。
そして耕作者自身が自分でタネを採り続け、年数をかけてその土の性能をタネに覚え込ませていく。土・タネ・人の連携プレーで自然本来の力の結晶である作物を育んでいくのです。
肥料も農薬も一切使わない自然栽培をカンタンに述べるとこのような栽培方法になります。
■自然栽培野菜の長所と短所は!?
自然栽培の野菜の特徴を有機野菜や化学栽培の野菜と比較してみると、
・農薬の心配がないので安心して食べることができる
・有機肥料に残留する抗生物質やホルモン剤、重金属などの心配がない
・未熟な糞尿肥料などを使わないので、病原菌や寄生虫感染の心配がない
・肥料を使わないので硝酸性窒素の残留が低く、安心して食べることができる
・細胞壁も自然本来の強さで成長するので腐ったり溶けたりしにくい野菜になる
このような特徴があるのです。
食の安全を大切に考え、農薬などの心配なしの野菜をたくさん食べたい!そんなあなたに肥料も農薬も一切使わない自然栽培の野菜はピッタリの野菜ではないかと思います。
以上が、自然栽培の良い面になるのですが、他と比較してマイナス面もあります。
・耕作者が少ないので、供給できる野菜に偏りがある
・取り扱う業者も少ないので大手有機宅配と比較してサービス面で劣る
・土づくりを徹底するので素晴らしく立派な作物収穫までに時間がかかる
・畑の土の質に合わせて栽培品目を選ぶので一農家で多品種栽培は困難
・肥料膨れしないので見た目は他と比較して小ぶりでしまったものとなる
・細胞壁が強いので、硬いと感じたり、歯ごたえが良いと感じたりと評価が二分される
ザッと挙げるとこのようなものになります。
サービスや野菜の種類などで自然栽培の野菜の宅配は有機野菜の宅配との比較では見劣りする面が否めませんが、安全で自然な野菜を心から求める人々から支持されて成長し続けているのが今の状況といえるでしょう。
■自然栽培と有機宅配を比較!
では、こうした自然栽培の野菜の宅配を実際に頼んでみるとなると、料金はどのくらいかかるのでしょうか?
◆自然栽培宅配最大手「ハ-モニックトラスト」
・自然栽培野菜セットS:2,263円(5~10品目)
・自然栽培野菜セットM:3,240円(7~12品目)
・自然栽培野菜セットL: 4,938円(10~18品目)
※自然栽培お試しセット:2,916円(7~12品目)
・税込み価格・送料別途徴収
・野菜の単品注文不可のセット野菜のみ
・会員になるには初期費用5,000円別途必要
・自然栽培加工品同時注文可
◆無施肥・無農薬栽培宅配「ハートネットショップ」
・自然栽培野菜セットS:1,944円
・自然栽培野菜セットM:2,880円
・自然栽培野菜セットL: 4,114円
※自然栽培お試しセット:3,086円(内容はMセット) 別に送料799円
・税込価格・送料1,015円
・初期費用なしで利用可
・野菜単品注文有り
・その他加工品も同時注文可
◆自然栽培宅配「そらの通販」
・自然栽培野菜セットS:1,674円(5~6品目)
・自然栽培野菜セットM:2,344円(6~8品目)
・自然栽培野菜セットL: 3,348円(8~12品目)
・自然栽培野菜セットXL:4,298円(10~14品目)
・税込み価格・送料別途徴収(756円~972円地域差有)
・野菜の単品注文可
・定期宅配会員になるには初期費用2,000円別途必要
・自然栽培加工品同時注文可
◆自然栽培宅配「ハミングバード」
・自然栽培野菜セットS:2,200円(5~6品目)
・自然栽培野菜セットM:2,648円(6~8品目)
・自然栽培野菜セットL: 3,698円(8~12品目)
・税込み価格・送料別途徴収(780円~1300円地域差有)
・野菜の単品注文可
・初期費用なしで利用可
・自然栽培加工品同時注文可
このようになっています。有機野菜の大手宅配の野菜セットと比較してみると、
◆有機野菜宅配「大地宅配」
・有機野菜セットS:1,580円(7品目)
・有機野菜セットM:1,880円(9品目)
・有機野菜セットL: 2,350円(10品目)
・税抜価格・送料別途徴収(減額措置有)
・野菜の単品注文可
・初期費用6,000円
・各商品単品注文可
◆有機野菜宅配「らでぃっしゅぼーや」
・7選プチ :2,200円(少なめ7品目+果物2種)
・7選 :2,621円(7品目+果物2種)
・10選プチ:2,631円(少なめ10品目+果物2種)
・10選 :3,050円(10品目+果物2種)
・税抜価格・送料別途徴収(減額措置有)
・野菜の単品注文可
・初年度無料・二年目以降1,080円
・各商品単品注文可
このようになっています。
単純に自然栽培の野菜と有機野菜とを比較するのは難しいのですが、価格やサービス、商品点数などでは圧倒的に有機野菜の宅配の方が便利です。
でも、安全性を重視で考えるなら有機野菜には様々な不安が付きまとうので、断然自然栽培に軍配が上がります。
何を重視して宅配を選ぶかで変わってくるので、よく比較検討をしてみることが大切でしょう。
以上、有機野菜の宅配と肥料も農薬も使わない自然栽培の野菜を比較でした。参考になればと思います。
■このページのまとめ
・有機肥料は量と質の管理が不十分な面がある ・有機肥料は遅効性・化学肥料は即効性がある ・時間の経過で化学肥料よりも効果を発揮することもある ・有機野菜には30種類以上の農薬使用が許可され情報公開の義務がない ・有機肥料に含まれる残留抗生物質や重金属の残留が問題となる ・有機肥料は長期熟成が大切で怠ると感染のリスクが高くなる ・有機肥料の過剰投与は硝酸性窒素の危険性を高めてしまう ・肥料を使えば農薬が必要になり、腐敗しやすくなってしまう ・自然栽培は土の力を最大限発揮させる農法で安全性が高い ・自然栽培の宅配は割高だけど安全性を最優先する人から支持が高い |
■参考文献
・家畜ふん堆肥の重金属含有量の特性
・野菜に家畜の糞尿経由の抗生物質含有の疑い
■次へ :『有機野菜と無農薬野菜の違いは自然食業界人も知らない!?』
■前へ :『アルカリイオン水・水素水、浄水器選びは長所と短所を確認!』
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