発熱と薬害・安易にクスリに頼らないために

緊急事態に焦ってしまう。仕方がないことではありますが、焦って良い結果を生むことは実に少ないのが現実です。ココでは発熱を例に落ち着いて対処するための必要なポイントを考えてみたいと思います。
■目次
1、熱が出たら下げるは正しい!?
2、自然な体温調節機能とは何か!?
3、発熱の仕組みとは一体どうなってる!?
4、子供の熱性ケイレンは自然な現象なのか!?
5、薬害のリスクも把握して落ち着いた対応を!
熱が出るのは悪いこと。
私たちはそう教わってきました。親からも学校からも、
”熱が出たら下げるように!”
理由をしっかり聞くことなく、一方的にこう言われ続けきたわけです。
ダルくて、つらいのが発熱の症状。
外から帰ったら手洗い・うがい、そしてたっぷりの栄養補給と睡眠。そして風邪の季節はビタミンC!日々の備えをきちんとすることで、
”熱を出さない努力をするように!”
そう言われてきたのです。でも、
発熱は本当に悪いことばかりなのか?無条件に敵視してしまって良いものなのか?
熱が出るのは、私たちの健康に必要なことでもあるのです。今回は「発熱」について考えてみたいと思います。
■体温調節機能とは!?
私たちの体温。
それは常に37度を維持するように保たれていると医学では言われます。
暑くて体温の上昇傾向を感じれば、体は即座に汗を出す。汗をかくことで体温を下げようとする。反対に寒くて体温の低下を探知すると、今度は毛穴を閉じて体内に熱を籠らせる。
それによって体温を37度に保とうとするのです。
このように体は常に常温をキープしようとするのですが、そのバランスが崩れてしまう時がある。それが「発熱」です。
私たちの体はわざわざ熱を出すことで、健康で快適な毎日の実現に必要な措置を施すのです。
■発熱の仕組みとは!?
体内にウィルスや細菌が侵入する。そうなると、脳から
「熱を出すように!」
と指令が下ります。すると抹消血管を拡張し、血流が促されていく。体温を上昇させることで体に入った菌などの活動を弱めようとするのです。
細菌やウイルスは41~42℃で活動が弱まり、増殖不能になっていく。
つまり発熱とは、細菌やウイルスの活動を弱体化させるための防御措置というわけです。
こうした素晴らしい防衛力を体は本来持っているのですが、それは”諸刃の剣”でもある。あまり熱が上がり過ぎてしまうと体にもキケンとなって跳ね返ってくる。
人の細胞は41度までは耐えられるけれども、42度を越えてしまうと、低温ヤケドを起こしてしまうからです。でも、私たちの体はそれもこれも全部分かっているので、高熱が出ても細胞が傷つかないように巧みにコントロールしているのです。
■熱性ケイレンは必要な症状!?
理屈は分かるけど、
「子供の突然の発熱はやっぱり不安だわ・・・」
確かに小さなお子さんの急な発熱は、親としては心配のタネですよね。変なことになってしまわないか、それも当然の気持ちだと思うのです。
でも、子供も大人も基本は体を守るための反応として理解する必要もあります。
子供は発熱とともに、引きつけやケイレンを引き起こすケースがありますが。これは「熱性ケイレン」といわれる症状です。
子供は汗腺や抹消血管の働きが十分発達していない。だから引きつけやケイレンをわざわざ起こすことで、無理やり筋肉を動かそうとする。
そのことで体温を上昇させていると考えられているのです。
子供が目の前で引きつけを起こせば、親としては気が動転して慌てふためいてしまうところなのでしょうが、それも体が必要と判断してあえて起こしているもの。
突然の事態にも冷静に対処できるだけの仕組みを知ってておく必要があると思います。そうでないと、治癒に向け必要で欠かせない体の反応をクスリなどで強制的に抑え込んでしまうことにもなりかねません。
そして薬剤投与による副作用のリスクも抱え込んでしまうのです。
(※参考:『発熱礼賛論・症状は即療法であるワケをギリシャの医人に学ぶ! 』)
■薬害の危険性も把握!
2000年11月に厚生省医薬安全局がインフルエンザで消炎・鎮痛・解熱剤「ジクロフェナクトリウム」を投与すると脳症・脳炎のリスクが13.86倍に高まることを発表しました。
また1982年アメリカで、インフルエンザや水痘での発熱に解熱剤を投与すると急性脳症(嘔吐、意識障害、高熱等)である「ライ症候群」の発症率が上がることも指摘されています。
体へのウイルスの侵入を防ぐためにあえて発熱する。それを解熱剤を使って力づくで無理やり引き下げてしまえば、ウイルスは増殖するばかり・・・。
そんな危険性だって充分把握しておく必要もあります。
熱が出たからと、思考停止に陥り即座にクスリに依存しようとする姿勢を私たちは真剣に考え直さなくてはなりませんね。
今回は「発熱」の仕組みを考えてみました。
■このページのまとめ
・発熱は体を守る防御反応でもある ・熱に弱い菌やウイルスの活動を抑止している ・体温を一定に保つための機能が私たちにはある ・熱性ケイレンも体の必要によって起きるという見方もある ・薬害のリスクが常に伴うので安易な薬剤依存はリスクが高い |
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■参考文献
『検査値と病気 間違いだらけの診断基準』 太田出版刊 大櫛 陽一 著
『薬が効かない!』 文春文庫刊 三瀬 勝利 著
『病原体から見た人間』 ちくま新書 益田 昭吾 著