野菜に病気を治す効果はあるの?食とクスリのあやふやな関係は!?

■目次
1、野菜に病気を治す力はあるの!?
2、薬理と生理の違いから見えるのは!?
3、効果効能を言うなら服用規定も一緒に!
4、副作用と同時に注意したい現代野菜事情は!?
5、線引きをしっかりしてとらわれない食べ方を!
栄養学全盛の世の中。
そのためか、食材を栄養素に分解して語るケースが目立つようになっています。
トマトには、
生活習慣病や老化防止に効果のあるリコピンが含まれている。美肌効果や風邪予防に役立つビタミンCも含まれている。塩分の排出を助けるカリウムや腸内環境を整える食物繊維も豊富。
このように語られるケースがとても多くなっていると感じるのです。
あたかも栄養剤を食べるかのように野菜を食べる。でもそれは本当に、
自然な食のあり方なのか?
そうでないなら、食べるとは一体、どういうことなのか?
今回は、食材の自然について考えることで、無投薬・無医療の生き方実現に必要なポイントについて考えてみたいと思います
■薬理と生理
体に入れて、何らかの効果があるものは、
「医薬品」
に分類されます。
病気の症状を改善する、だからこその医薬品。
でも、効果の裏には副作用がセットなので、医薬品には薬効がある反面、副作用のリスクをも伴うわけです。
これに対して食品は、病気の症状に対しては何の効果もないもの。効果がないので、副作用もない。
このように分けられるのです。
カゼ薬には、カゼの症状を改善する効果が認められるけど、食品にはそのような効果はない。
胃腸の不調に胃腸薬は改善の効果があるけど、食品にはそのような効果はない。
効果があるものを「薬理作用」があるといい、効果がないものは「生理作用」があるという。
よって、トマトの栄養価を細かく分解して、何かの効果があると騒ぐことは、
“薬事法に違反する!”
のではないか?と思ってしまうのです。
トマトを食べたからと言って、肌がキレイになったり、生活習慣病を未然に防いだり、そのような力は一切ない。ないからこそ、「食品」に分類されている。
このように解釈するのが正しいあり方です。
トマトに薬理効果がないからこそ、副作用の心配を持つことなく、美味しくたくさん食べられるというわけです。
■服用規定も一緒に!
でも、
確かにトマトには微量であっても、リコピンやビタミンが含まれている。リコピンやビタミンに何らかの効果があり、病気の症状の改善に役立つものだと仮定しましょう。
トマトには薬理効果はあるにはあるけど、問題にならない程度の量しか、含まれていない。その状態で、薬理効果を発揮させようとすると、
「モノスゴイ量のトマト」
を毎日食べなくてはならなくなります。1日10個なのか、20個なのか、どのくらいなのか?全く分かりませんが、膨大な数のトマトを食べてこそ初めて
“薬理効果は発揮”
されるものとなる。こういうことになるのです。
医薬品には必ず服用規定があり、“大人食前食後に1日2回”といったような制限が設けられている。その理由は量が過ぎてしまえば、
「副作用のリスク」
が高まってしまうから。
トマトの効果効能をどうしても言いたいのなら、服用規定も同時に言わねばならないはずなのです。
服用規定をいうことなく、野菜の効果効能を語ることはフェアではない。効果効能は服用規定とセットで語られなくてはならないはずなのです。
以前、私が勤めていた会社で、
“野菜の〇〇成分が病気に効く!”
といったテレビの胡散臭い情報を鵜呑みにして、大量に食べた人がいました。その結果、3日も経たないうちに、全身にヒドイ炎症が回ってしまい、散々な目に遭ってしまったのです。
野菜に〇〇の効果がある、そうした情報は後を絶ちませんが、基本的には無視すれば良い。トマトに限りませんが、食材は自然の恵みに感謝して、美味しく楽しく食べればよい。
いい加減な情報を真に受けて、マジメに取り組まない。それが身を守る術といえるでしょう。
■原因はコレ!?
でも、
その人が全身に炎症が出てしまった理由は、トマトの薬効による副作用。そう断定できない面もあります。それはトマトには、
「莫大な量の農薬」
が使われるのが常だからです。
トマトは栽培期間中の40回~50回程度の殺虫剤・殺菌剤が使われますが、量をたくさん食べたことで、残留農薬が原因となって皮膚炎を発症した。
そのようにも考えられるのです。
農薬を使えば、虫や菌が死ぬわけだから、成分が残留した野菜をたくさん食べれば、当然体に悪影響が出てしまうものです。
だからトマトが老化防止に役立つとか整腸効果があるとか言うのなら、農薬情報も同時にしっかり公開して、
その危険性についてもしっかり述べるべきではないか?と感じます。
残留農薬の危険があるので、
“たくさん食べないでください!”
ときちんと記す。タバコには必ず、“吸い過ぎ注意!”の警告があるのだから、野菜の効果を言うのなら、同様に処置するべきではないかと感じます。
■食とクスリの住み分けが!
食べものの効果効能を強調する傾向に衰えは見られませんが、それは食とクスリの境界線がますます曖昧になっている証と言えるでしょう。
自然食業界においても、野菜の効果効能を強調するような傾向が見られますが、もしその路線を行くのなら、
「自然食ではなく自然薬」
といった看板を立てて、商売するべきでしょう。
とかく、世に溢れる健康情報は、メリットばかりを強調して、デメリットについてはひたすら押し黙るといった傾向があります。
何らかの効果があるものには、
“必ず副作用がある”
のが自然界の摂理なので、こうした情報には注意が必要です。
些末な栄養価などに振り回されるのではなく、農薬使用の状況や添加物の有無などを確認し、あとは感謝して美味しくいただくこと。
それが自然で本来の食べ方ではないかと考えます。
■主食のお米は無肥料・無農薬を!苗から無農薬の自然栽培米
・無肥料・無農薬 苗から無農薬の自然栽培ササニシキ
■参考文献
・『自然食の裏側』 三好基晴 著 かんき出版 刊
■次へ :『安全な食用油の選び方・安い油はこんなにハイリスク!』
■前へ :『飲酒と肝臓・肝硬変からあなたを守る日本の麗しき習慣とは!?』
■TOPへ:無投薬・無医療の生き方マガジン