食で歴史は作られる!過去をヒモ解き今日の課題を解決する!

人類は何を食べてきたか?食の歴史をヒモ解くことは未来の歴史、その青写真を描くことにも直結します。
ココでは食の歴史を考えることで直面する課題の解決策を考えてみたいと思います。
■目次
1、人類の強い生命力とは!?
2、食の発展プロセスとは何!?
3、歯の構造から分かる食の変遷!
4、歴史は食で作られる・その意味とは!?
5、直面する食の問題の解決策はなにか!?
アリやノミ。
生命力も繁殖力も旺盛。地球上に幅広く分布する生きものとして知られています。でも、彼らよりもずっと広域に生息している生きものがいる。
それはヒト。
人類ほど地球のあらゆる場所に分布している生きものはいない。このようにいわれているのです。
サルも世界各地に見られますが、その北限は日本の下北半島。人類の生命力は他の生きものの追随を許さないものがあるのです。
熱帯、寒帯を問わず、地球上のどんな場所でも生き続けることができる。私たち人類の何がそれを可能にしているのでしょうか?
理由はたくさんあります。大脳の発達により、直立歩行が可能となったこと。火の使用や道具の発明、どれも欠かせない要素になるのでしょう。でも一番は、
「食」
食べることができなければ、どんな生き物だって生きることはできないものだからです。
■食べものの発展プロセスは!?
私たち人類にとっての「食」の歴史は狩猟採集生活に始まります。
それを経て、やがて牧畜を開始する。その後に農耕に至るのが人類に共通した発展プロセスといえるのです。
足も速くないし、体力だって大したことはない。肉食動物のような鋭利なキバさえも持たない人類。道具の発明と活用により武器を手にすることができたわけですが、それ以前の太古の人類はどうしていたか?というと、
骨を食べていた。
骨を砕き、中から髄を取り出しすり潰して食べていたといわれます。当然ながら諸説はありますが、肉食動物が獲物を食べ散らかした後、その骨を主食にしていた痕跡があるのです。
骨の髄なんかで腹いっぱいになるのか?
心配になってしまいますが、骨はエネルギー満点・栄養価満点の格好のエサ。
リンや硫黄がたくさん含まれ、塩分までをも含有している。その他の生存に必要な様々な栄養分が豊富に含まれているのです。
肉食動物の狩りの様子を安全な場所からじっと眺め、その食事の様子を見つめる。やがて退散した後の誰も食べな
い骨を狙って必要な食料を確保していたというわけです。
目の付けどころがなかなか良く、隙間を狙った弱者必勝の戦略といえそうです。
■歯の構造で分かるのは!?
肉食動物の歯は尖った犬歯が特徴です。
全部の歯が犬歯で構成されていることの意味は、肉を食べるための装備といえます。これとは別に草食動物の歯には犬歯がない。門歯と臼歯のみで植物をすり潰すための歯を備えているのです。
私たち人類はどうかというと、4本の犬歯と8本の門歯、そして20本の臼歯といったようにバラエティーに富んでいる。
その意味は食べられるものならどんなものでも何でも食べてきたのことの証明というわけです。いわば食に貪欲で“悪食”だからこそ、世界のあらゆる場所で生きることができた。このようにいえるのです。
■歴史は食で作られる!
人類の歴史は食の歴史でもあります。
後世に残る名だたる大事件も食を背景にしていると言っても過言ではないのです。
世界遺産の万里の長城は北方の匈奴の侵入を防ぐための防御設備。寒冷期により食用植物が不足することでそれを得ようと侵入を繰り返す。これを防ぐ目的であの長大な建造物を作ったわけです。
また大航海時代で目標にしたのはコショウ。肉の保存に欠かせない貴重な食料資源の獲得のために危険な航海へと乗り出して行ったのです。
また幕末日本を揺るがしたペリー来航はクジラを捕獲するための寄港地の確保を目的にはるばる日本にやってきた。食料や飲料水、さらには薪の供給地として開国を迫ったのが原因です。
人類の歴史は「食の歴史」。そのように言えるのです。
日本は豊かな食料資源に恵まれ、とりわけ食用植物が繁茂する世界屈指の食資源大国です。石器時代から人口密度は世界一といわれる由縁は豊富な食べもの事情が背景にあるのです。
遺跡数は約2万箇所、どの遺跡もかなり過密な人口密度で暮らしていたことが分かっています。世界に類例がないほどの恵まれた食資源大国であったことを示しているのです。
また日本人ほど悪食な集団はいないと言われています。旨いものを食べるためなら命だって賭ける、日本人の食への情熱は世界屈指と言われているのです。
フグのように一歩間違えれば死亡するようなものまで食べる。死を賭けてまでウマイものを食べようとする心根は世界に類例がないといわれているのです。
■新たな食糧問題の解決は!?
そんな私たち日本人もいま新たな食の問題に直面しています。
本来自国で自給できるはずの食料を他国に委ねる。それは世界から食料を収奪することにも他なりません。また自国民の生存に欠かせない食料を他国に委ねることは日本人の胃袋を他国に売り渡すことを意味するのです。
やはり自国の食料は自国で作る、今後ますます緊急性の高い問題になってくるでしょう。
また「飽食の中の飢餓」とも言われるように、食べものの質の問題も緊急性の高い課題です。目の前にある食べものを安心して食べることができないそれは人類の歴史において未曾有の事態といわねばなりません。
食糧問題はこれまで飢餓や貧困といった「量と分配」の問題がほとんどでしたが、今は「量」に加えて「質」の問題も加わっているのです。
また日々口にする食べものの汚染も見逃せない問題です。農薬や化学合成添加物などを使用しない、できるだけ自然で安全な食材を求める声も高まっているのです。とは言いつつも、
もっとたくさん農薬を散布しよう!
もっとごっそり合成添加物を使おう!
こうはなりにくいことも一方の事実。より安全でより自然な食材を提供することが供給側に求められているからです。
それは崩れたバランスを元の状態に戻そうとする自然界の法則と呼べるのかもしれません。自然界も私たちも、極端な方向に傾いてしまえば元に戻そうとする力が働くもの。
化学食を止め、自然食へ。
西洋医学一辺倒を改め、伝統医療や自然医療へ。
土から離れたからこそ土との触れ合いを求めようとする。
極単に傾くことを自然界は嫌い、許さないものだからです。
あるべき状況が訪れる日を待つのではなく、積極的にあるべき未来を創造するため自らが動くこと。予言や観測ばかりに専念するのではなく、進んで人類史の生産に貢献していく姿勢が私たちに求められているのです。
しかし、それは何かと闘うようなあり方ではない。毎日の暮らしその積み重ねの中にこそ、希望と答えとがある。それは自然の摂理に則したより自然でより安全な食材をおいしく・楽しく食べること。
そこにこそ問題の解決策があるのです。ナチュラルライフを実践し、しなやかに美味しく・楽しく未来を促進していきましょう!
今回は食の人類史について考えてみました。
■このページのまとめ
・人類の生息範囲は地球上で一番 ・食を確保できるからこそ人類は広範囲に分布できた ・体力も装備も弱い太古の人類は骨の髄を食べていた ・歯の構造から人類は食べれるものを何でも食べてきた ・人類の歴史は食べものの歴史と言える。大事件の背景には食 ・直面する食糧問題と質の問題の解決策は自然な食べものを食べ続けること |
■参考文献
『梅干と日本刀 日本人の知恵と独創の歴史(祥伝社新書)』 樋口 清之 著 祥伝社
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