五節句って何!?農と節句のカンケイから日本人の健康管理術を学ぶ!

■目次
1、節句に秘められたワナとは!?
2、節句は健康管理習慣ってホント!?
3、ひな祭りの健康術って一体なに!?
4、ひな人形の意味は民間信仰にある!?
5、七夕と菊の節句の意味とワケとは!?
6、日本人の健康管理術は楽しさに秘訣が!
「ひな祭り」
もうすぐおひな様のシーズンですが、日本にはこのような麗しい催事があります。他に有名なところを挙げておくと、鯉のぼり、七夕、菊の節句。
節句といえば、お祭りのこと。
鮮やかに並んだひな人形。真っ青な空のもと、天高く翻る鯉のぼり。五色の短冊に願いを込め、ササの枝に結んでいく・・・。季節感あふれる日本ならではの風物詩。イメージするだけで楽しさがこみ上げてきますよね。
でも、それが巧妙に仕組まれた、陰謀であったとすればどうでしょうか?楽しさ向こうに暗号が込められているのだとしたら・・・。
今回はその他の節句を考えることで、無投薬無医療の生き方実現のヒントを考えてみます。
■節句は健康管理!?
重陽の節句。
一ケタの奇数と奇数はエネルギーが最高に高まる日。それはとてもキケンな日でもある、このように考えられていたため、祭りなどを行って邪を祓う。それが日本の伝統行事といえます。
そしてこの節句の祭りを、
「農業カレンダーに変容」
させたのが日本人の知恵というわけです。お正月は一年の農耕の開始を意味し、その期間をゆっくり過ごすことで、その後の重労働に備える意味がありました。
それならば、他の節句にはどのような意味があるのでしょうか?
3月3日の「ひな祭り」から順に見ていきましょう。
■ひな祭りの知恵とは!?
ひな祭りは苗づくり、そして地域よっては田植えのころ。
太陰暦の3月ですから、いまなら4月頃にあたります。「早乙女」といわれるように田植えは女性が行う、それが古くからの慣わし。この時期にしっかり体調を整えなくてはならなかったのです。
そこで使われたのが、
「桃」
種子の中の胚乳を食べる、それが桃の節句です。またアンズの杏仁湯を飲んだり、そうしたことも行われていたようです。
その狙いは血圧を低下させ、強心・健胃の効果を期待したから。それがやがて桃の花を生けることに変化したと考えられています。
■ひな人形の意味は!?
それならば、「ひな人形」はどうなのでしょうか?
その由来は
“ケガレを祓う”
こと。大切な田植えを前に、身を清める。そこで使われたのが人形。かつては紙を人の形に切り抜き、それで体を撫でる。撫でた紙を川や海に流すことでケガレれを祓った。ひな人形はその民間信仰が変化したものというわけです。
桃に人形、早乙女のための節句、そこから
「女の節句」
になったのですね。
「そうか、桃の節句はそういうことだったのか!それならば五月五日はどうなの?」
端午の節句は菖蒲の根っこを煎じて飲む節句。さらに菖蒲をお風呂に入る習慣があったのです。今でも続いてますよね。
それはどうしてなのかというと、この時期は田んぼの草取りの時期。草が繁茂し始める時期で除草作業で忙しい、除草剤があれば一撃ですが、当時はもちろん手作業です。重労働のあまり疲労も蓄積する頃にあたります。
この時期、田んぼには虫が多く、湿気も多い。虫刺されやそこからの感染で皮膚病にかかりやすい時期となります。だから、
「殺菌力の強い菖蒲の根」
を煎じて飲んだり、湯に入ったりして体をガードした。菖蒲はその読み名からも尚武(武を尚ぶ)、もしくは勝負。音の響きが武士に気に入られ、そこから“男の節句”になったというわけです。
■七夕と菊の節句
夏の終わりから初秋にかけての儀式は七夕。太陰暦7月7日は刈り取り前の最後の草取りの時期。休養し、いよいよ収穫に備える節句が七夕です。ホオズキの根を煎じて服用する習慣があったといいます。
なぜホオズキなのか?それは
「妊娠を防ぐ目的」
で使われたと考えています。この時期に妊娠すると、当然、母体に負荷がかかります。妊娠3~4ヶ月ごろが一番つらい。ちょうど収穫で、もっとも忙しい時期にぶつかります。
収穫期に女性の労働力が減ってしまえば大変です。だからといって無理に働かせれば母体に危機が生じてしまう。そのためホオズキの実を煎じ、子宮口を洗浄したといわれているのです。それが昔の妊娠堕胎法、「中条流」の秘伝というわけです。
このように貴重な女性の労働力を確保するため、妊娠させない。労働力の確保・母体の保護の節句が七夕、そういう具合になるのです。
そして最後、9月9日の菊の節句は、稲刈りの最盛期。農家が一番忙しい時期で、マラソンでいえばゴール寸前。疲労は頂点、そこで菊の酒や花を煎じて飲む。鉄分が多い菊を取り入れることで、
「強壮・造血」
を図ったというわけです。
■日本人の健康管理術!
このように節句とは農業カレンダー。それぞれの時期の作業を前に、健康診断を行う日。体調を意識づけるのが節句の役目だったというわけです。
普段あまり摂らない薬草を使って、この時期は効果効能を狙う。そのことで収穫に支障が生じないようにしていく。農業労働のための保健衛生が節句には秘められているのです。
普段からクスリや何かに頼るのではなく、必要に応じて活用していく。それが農民の知恵だったというわけです。むやみやたらに薬草を飲むのではなく、時期を限って少量にとどめる、そうした意識があったのかもしれません。
「農作業のために健康管理しよう!」、そう説教くさく述べるのではなく、
“ひな祭りだ~♪”、”カブトや鯉のぼりだ!”、”七夕だ☆”
楽しいな~。その裏でしっかり健康管理、労働者管理を行っていたのが五節句に秘められた陰謀です。それが今日に至るまで、楽しい行事として私たちに引き継がれているわけです。
それではまとめとして、國學院大學名誉教授 樋口清之(故人)の言葉で終わりたいと思います。
「こうして体に良い、科学的だ、合理的だ、などと言わずに、お雛様を祭り、鯉のぼりを立てるといった祭りに仮託 して、ムードを盛り上げ、信仰と結びつけ、知らずしらずに習慣として自然のうちに、楽しみながら、実に巧みに、いや巧まずして、健康管理を行っていたのである。節句は、定期的な健康診断の日でもあったのである。」
今回は節句に込められた陰謀をお伝えしました。
■参考文献
『梅干と日本刀 日本人の知恵と独創の歴史(祥伝社新書)』 樋口 清之 著
『食べる日本史 (朝日文庫)』 樋口 清之 著
『「まつり」の食文化 (角川選書)』 神埼 宣武 著 角川選書
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