無農薬・低農薬も大事だけど肥料の量と質にも注目を!

■目次
1、硝酸性窒素と肥料
2、自然界は無肥料・無農薬!
3、肥料の質と量に注目せよ!
4、朝採り野菜がキケンな理由
5、窒息死の背景は2つの汚染が!
6、体内・体外環境を汚してしまう!?
「硝酸性窒素の危険性」
昨日は葉野菜を中心に述べさせていただきました。でも、そのリスクは葉野菜に限ったものではない。他の野菜やお茶、そして
“飲み水”
にまで含まれているのですから。毎日のいろんな食べものや飲みものから、体に蓄積されていくことになるのです。
野菜の硝酸性窒素は肥料の与え過ぎが原因で起ります。肥料とは植物にとっての三大栄養素、「窒素・リン酸・カリ」を主な成分にしているもののこと。中でも窒素は植物にとって
「成長促進剤」
だから一番重要視されている成分です。有機肥料であれ、化学肥料であれ、肥料とは窒素が軸、これに違いはないわけです。肥料は作物への養分供給を目的に使われます。そこに貫かれている思想は
“より多く・より速く!”
このことに尽きるのです。特に有機肥料は生産者の勘を頼りに使われますので、一反(300坪)当り何トン、作
り手によっては何十トンという量が使われるケースも少なくありません。
何十トンとなればトラック何台分でしょうか・・・、自然界にはなかなかありえないことで、不自然と言わざる
得ない側面があります。
■自然界は自然栽培
植物は本来自分に必要な窒素を自分で取り込む能力を持っています。それができなければ植物は、太古の昔にとっくに亡んでいたはずです。地球上の植物、そのすべてに人間が肥料を与えることなど、とても不可能ですから。
これはどんなに文明が発達しても不可能であり続けるでしょう。野菜も植物、だから必要な栄養分を自らの力で取り込むだけの力が備わっているのです。
実際に自然の野や山のどこにも肥料は入っていません。動物の糞や死骸が入ることがあっても、一ヶ所に集中することはありません。しかも
“何十トン”
も入ることはないのです。それでも植物たちは栄養失調になることもなく、逞しい姿を見せてくれています。必要な分の窒素を自分で取り入れ、取り入れた分を吸収し生命を維持する。これが本来の、そして自然な植物の姿です。つまり自然界は
「無肥料・無農薬の自然栽培」
であるわけです。
■肥料の質と量
硝酸性窒素の問題は、いかに過剰な肥料を与えているか?このことを物語っています。この数値は、植物の自然な成育過程を無視した結果ともいます。より速く!より多く!こうした人間の都合を植物に強いた結果ともいえるのです。
自然のルールや食べる人の安全が犠牲になっているといえるのかもしれません。無論、これまでの時代背景は安全よりも、腹を満たすことにありましたから、これもやむを得なかったのだとは思います。
北海道で起こった牛の大量死事件は牧草に大量の肥料を与えたことが直接の原因とされているのです。問題は
“肥料のクオリティー”
にあります。有機のものでも、低い数値が出るものもあります。傾向として言えるのは、
「植物性の肥料」
を使った場合は数値が低めに出ます。一方、動物性の肥料を使った場合は高い数値が出る傾向があります。つまり無農薬なのか、減農薬なのかを問うことも確かに大切なのですが、同時に
“どのような肥料がどのくらい使ったか?”
についても疑問を持つ必要がありますね。
■朝採り野菜の危険性
もちろん肥料を入れない自然栽培の野菜だからと言って、常に低い数値が出るとは限りません。これはその畑で肥料をやめてから
「何年になるか?」
または自然栽培を始める以前にどのような肥料を使ってきたか、これらによって数値は変動します。肥料をやめてから年月が経過した畑の野菜は、低い数値になる傾向があります。
年数と土の中にこれまで入れてきた肥料や農薬などの不純物を
“いかに抜いていくか?”
この時間の質と長さの積み重ねができているほど、硝酸性窒素は少ない傾向があるようです。
また、硝酸性窒素は太陽光線によって分解されます。「朝採り野菜」が良いかのように思われがちですが、硝酸性窒素の問題を考えると決してそうとは言い切れません。より長く太陽の光に当たっている
「夕採り野菜」
の方が安全性が高いといえるのです。日照によっても変わるので、夏場と冬場の葉野菜では残留濃度は変わってきます。またビニールハウス栽培ですと、どうしても太陽光線が弱くなるため、硝酸性窒素は分解されにくくなります。
■2つの汚染
硝酸性窒素は植物の成長にとっても欠かせない物質です。問題は、その「量と質」にあります。必要のないものまで、過剰に野菜に与える行為が、
「毒」
となって人間に返ってくる。さらに畑の肥料成分が地下水に染み込んだり、雨などで河川に流出し、それが私たちの飲み水やハウス栽培で撒かれる水として循環を繰り返すわけです。
「有機」を含めた日本の農業の現実は、硝酸性窒素の汚染を雪ダルマ式に拡大していると一面があります。有機をやるにしても、可能な限り
肥料は少ない方が良い
わけです。「ブルーベイビー症候群」は赤いはずの赤ちゃんが硝酸性窒素を多く含んだ葉野菜を食べて、青くなって窒息死した事件ですが、この顕著な例で、一つはホウレン草に含まれていた硝酸性窒素、もう一つは茹でるための水道水に含まれていた硝酸性窒素、いわば二重の毒性が原因となって起こった事件だと考えられています。
■糖尿病と環境汚染
アメリカ・コロラド大学のコストラバ博士の研究によれば、硝酸性窒素は発ガン性物質やブルーベイビー症候群に限らず、
「糖尿病」
の原因物質であると指摘しています。田畑からの有機肥料や化学肥料が畑に使われることが原因と考えられます。畑の土からの窒素成分が地下水を汚染し、それが硝酸性窒素たっぷりの水道水となって飲み水や作物の栽培に使われていく、まさしく
“負の連鎖”
の結果というわけなのです。だからといって、来年から肥料・農薬をやめることをすべての農家ができるかといえば、現実には不可能です。
だとするなら、有機であれ、減農薬であれ、一般の栽培であれ、まだまだ本当に貴重な食料だといえます。しかし、地球環境にも、体外環境にも重大な影響を及ぼす硝酸性窒素の危険性を私たちは正面から見つめる必要があるように思います。私たちは肥料について真剣に考えなければならない時期に差し掛かっているのです。
また葉野菜を茹でれば確かに硝酸性窒素は軽減されます。その反面、茹で汁が再び河川を汚し、土を汚してしまうのです。
「何が自然で何が不自然か?」
このことを軸に日々の食材を選択していく必要があると感じます。
■次へ :『クスリで病気は治癒するモノなの!?治ると抑えるの違いとは?』
■前へ :『ガンの食事療法をするなら肥料と野菜との関係に注目!』
■TOPへ:無投薬・無医療の生き方マガジン