有機米・無農薬米でも安全ではない?ハードなお米の実情は!?

■目次
1、お米を食べなくなった理由は!?
2、品種の違いがもたらす影響とは!?
3、不自然な理由はこの構造の違いに注目!
4、過熱化する開発競争の実態はどうなの?
5、そこまでしても甘いお米を作りたい!開発の実情は?
6、品種の他に農薬使用にも注意を!主食のお米が最優先!
「加賀百万石!」
そんな言い方があります。
これは100万の人間を養えるほど豊かな国。そのことを言い現わした言葉です。
成人が1年間に食べるお米の量が一石・150キロ。当時お米はお金なので正確には言えませんが、そのくらいの量を食べていたと推測されるのです。
1960年代前半の日本人のお米の年間消費量が約120キロ、そして今は54キロ。日本人は昔より断然お米を食べなくなっているのです。
その理由はさまざまあるのでしょう。食の洋風化やパン食・麺食の普及、肉体労働の軽減など色々あるのでしょうが、そのひとつに、
「お米の品種」
ここにも問題があるのではないか?と思うのです。
お米アレルギーの方の中には、コシカリは食べられないけど、ササニシキなら食べられる。このようなケースが少なからずあります。
どちらも無農薬のお米であっても違いが出てしまう。
無農薬のコシヒカリと無農薬のササニシキ。
その違いは一体どこにあるのでしょうか?
■品種の違いとは!?
コシヒカリは、甘くてふっくら・モチモチしたお米の代表です。
これと似たブランドに、あきたこまちやひとめぼれ、きらら、ミルキークイーンなどもこのタイプのお米と言えるでしょう。
一方のササニシキはといえば、あっさりしたお米でありつつも、味が良いといわれるお米。モチモチ感はないけれど、あっさりの中に旨みがある。
「ササシグレ」もこのタイプに分類できるでしょう。
マグロで例えれば、コシヒカリは中トロ・大トロ、ササニシキは赤身。そんな風に分けられると思います。80年代には「ササコシ戦争」といわれるくらい、この2つの品種が市場シェアを競い合ったものですが、結果はコシヒカリの勝利。
その流れが現在まで引き継がれているのです。
■不自然な理由とは!?
お米の甘味や粘りを決めるポイントは「デンプン」です。
デンプンの種類の違いが食味の違いになるのです。
モチ米に近いお米がコシヒカリで、そこから離れるほどササニシキのグループになっていきます。
でも、本来モチ米は、毎日口にするようなお米ではありません。
赤飯やおこわなどは特別な”ハレの日”に限って食べるものですが、コシヒカリを選べば日々モチ米の要素を体に入れることになってしまう。
それは私たちの体にとってハードであり、不自然なこと。お米の消費量が減っている理由の一端に、味の濃い・甘味の強い品種の問題があるのではないか?
そのように推察できるのです。
■デンプンの違いに着目!
お米のデンプンは2つのデンプンから構成されています。
それは「アミロース」と「アミロペクチン」と言われるものです。
アミロペクチンが100でアミロースが0のものが「もち米」。
アミロース15~35%でアミロペクチンが65~85%のものが「うるち米」。
そしてこのアミロペクチンを多く含んだお米が、甘くてふっくら、モチモチした米。コシヒカリに代表されるものになるわけです。
コシヒカリは甘味があってふっくらしてモチモチ感が魅力のお米。この大ヒットに追随して最近は冷めてもモチモチ、そうしたことを売りにしたお米までも売られているのです。
通常コシヒカリのアミロースは14%~20%、ミルキークイーン9%~12%、スノーパールに至っては7%~9%と言われていて、日照や気温などでも変わるようです。
こうしたモチ系のお米の生産者はアミロース20%なんて数値が出ると、痛恨の極み!と悔しがるわけです。どれだけアミロースの量を減らして、
モチ米のようなふっくら甘いお米を作り出せるのか?
このことを目標に甘くてモッチリ米の開発競争に日夜励んでいるのが私たちの主食を巡る状況というわけです。
■モチ系米のリスクとは!?
競争が過剰になるあまり、
お米に紫外線や放射線などを照射することで、突然変異を引き起こさせる。化学の力で旨い米づくりの実現を目指す。そこまでして過度な甘みとふっくら感を何とか引き出そうと躍起になっているのです。
こうした操作を行ったお米も有機野菜の宅配や自然食店で無農薬米、低農薬米として販売されているのが現状です。
甘くてモチモチのお米を日々食べることは体にとってハードなこと。
こうしたことからコシヒカリなどのモチ米系のお米を日々食べ続けることが、糖尿病やアレルギーの原因の一端を担っている。
そう警告する医師や研究者も少なくないのです。
お米アレルギーの患者さんがモチ系のお米を食べれない理由は不自然だからと考えられるのです。
■等級のために安全性が!
また、お米には等級制度というものがあり、緑色のお米や斑点のついたお米が一定程度含まれているとランクを下げられてしまいます。
ランクが下がれば収入が減ってしまうので、米農家は細心の注意を払ってお米作りをするわけです。
緑色のお米は”未熟米”と言われますが、問題は斑点の方。斑点はカメムシがお米に取りつき成分を吸い上げた後にできるものなのです。
米農家にとってカメムシは憎らしい敵なのですが、なかなか駆除が難しい虫でもあります。
そこで使われるのが細胞浸透系の農薬です。第〇章でもそのリスクについて詳しく述べましたが、この農薬はお米の栽培で特によく使われる農薬なのなのです。
カメムシが吸い上げようとしたら細胞内の農薬も一緒に吸わせてしまう。細胞浸透系の農薬を使うことで、斑点米の比率を下げお米のランクを上げようと躍起になるというわけです。
主食のお米には残留性が高く、しかも健康被害の不安の高い細胞浸透系農薬が使われているリスクがあるので、主食のコメだけはぜひ無農薬のものを選んでほしいと思うのです。
有機米や減農薬米(特別栽培米)では農薬使用の有無が分からず、不安が残ります。無肥料・無農薬の自然栽培のお米や完全無農薬米を選んでほしいと思います。
ましてや小さなお子さんがいらっしゃる家庭なら、残留性の高い細胞浸透系農薬を使ったものはリスクが高いし、将来の不安要素を日々蓄積させることにも繋がってしまう。
だからこそ主食のお米への投資は惜しまず最優先にしてもらいたいと思います。
毒への耐性は「体重に比例する」もので、細胞浸透系農薬は特に子供の脳の発達に深刻な影響が懸念されています。
他の何は差し置いても、米だけは手を抜かないこと。このことが必要になると思います。
お米は私たち日本人の主食です。主食は木で言えば「幹」に当たります。
これまでさんざん野菜について述べてきましたが、どの野菜もお米ほどの量は食べなわけだし、私たちの体も多くの野菜を必要としないものなのです。
お米が幹なら野菜は枝葉、安全な食生活の源は、最重要食材である「お米」の安全をしっかりまずは確保すること。そのことが何よりもまず真っ先に取り組むべき優先事項となるのです。
この章では自然なお米について考えてみました。次章はいよいよ最終章です。
限られた予算の中でいかに効率よく投資を行い、食卓の安全をより効果的に組み立てるか?
この点について述べてみたいと思います。
>>次章へ:第十章
■この章のまとめ
・お米の品種はモチ系とウルチ系とがある |
■参考文献