有機野菜の離乳食・赤ちゃんが葉野菜で窒息する!?

「緑黄色野菜」は快適な毎日のために必要なもの!私たちは親からも学校でもそのように教わってきました。その緑黄色野菜の一角、緑の部分を担うのが「葉物野菜」。
この章では本当に安全で自然な葉物野菜の選び方について学んでいきましょう。■目次
1、苦みエグミの正体は!?
2、葉野菜の色は葉緑素の色!?
3、組み合わせが最悪な理由は!?
4、赤ちゃんの離乳食でこんな事態が!?
5、野菜大好き国民が注意するべきは!?
6、朝どり野菜がキケンな理由はココ!
7、私たちが選ぶべき野菜はどんなものか?
8、サラダで食べない!危険最小化の方法は!?
ほうれん草や小松菜などを食べて、苦みやエグミを感じる
一方、別のほうれん草や小松菜を食べると、旨みと歯ごたえを感じる。同じ葉物野菜なのに、どうしてこのような違いが出てしまうのか?苦みやエグミの正体は一体何なのか?
そんな疑問が浮かぶのです。
■緑の濃さの正体は!?
ほうれん草や小松菜などを選ぶ際は、
「緑の濃いものが良い」
私たちはそのように思っています。緑の濃さは葉緑素の色。それが体内で良い働きをしてくれる。だからこそ濃い色の野菜を選ぶわけです。
でも、緑が濃ければ濃いほどに苦くてエグイ野菜になる。”葉緑素ってニガイの?”、そう思われるかもしれませんが、緑の濃さは葉緑素でも何でもなく、
「窒素の色」
なのです。窒素肥料をたくさん与え、葉に蓄積されたまま残っている未分解の窒素の色。そしてそれが深くて濃い緑色の正体。
窒素の残留が多い葉野菜は苦くてエグイ、マズイ野菜になってしまうのです。
■最悪の組み合わせ!?
前章でも指摘しましたが、窒素は植物にとっての三大栄養素の一つで肥料の軸になるものです。葉を大きく・茎を太くする目的で窒素肥料は使われることから、別名「葉肥」とも呼ばれています。
有機肥料であれ、化学肥料であれ、窒素肥料をたくさん与えてしまうと根からどん欲に吸い上げ、葉にひとまず蓄積します。それを植物は順番に分解しアミノ酸に変えていくのですが、問題は葉に残ったままの未分解の窒素。それは、
「硝酸性窒素」
と言われる物質なのです。
「肉を食べたら野菜もいっぱい食べようね」
食卓でお母さんが子供に教え諭す言葉です。肉の毒消しにはグリーンサラダなどの葉もの野菜が多く使われますが、実はこの相性が極めて悪い。
肉に含まれるタンパク質と葉野菜に残留する硝酸性窒素とが胃の中で化合し、
「ニトロソアミン」
という強力な発ガン性物質に変化してしまうからです。肉だけでなく、魚にも含まれるタンパク質「アミン」が硝酸性窒素と結びつくと強い発ガン性物質に化学変化してしまうのです。
胃ガンは欧米では少ない病気なのですが、日本や韓国では極めてメジャーな病気。肺がん・直腸がんと並んで三大ガンの1つに挙げられるほどなのです。
なぜ日本人に胃ガンが多いのか?その原因はこのニトロソアミンにある。そのように指摘する研究者もいるわけです。
ニトロソアミンによる急性の症状は、血圧降下、嘔吐、チアノーゼなどですが、慢性症状となると発ガン性。
発ガン性のリスクに加えて、硝酸性窒素を多く含んだ葉野菜を多く食べ続けると、糖尿病やアレルギー、アルツハイマーや甲状腺機能に障害が出ることが指摘されます。
緑の濃い野菜を食べることはこのようなキケンを引き寄せてしまうのです。
■離乳食で想定外の事態が!?
硝酸性窒素のもう一つの大きな問題は、「窒息」です。
小松菜やホウレン草などは赤ちゃんの離乳食で使われますが、硝酸性窒素の残留が多いと窒息状態を引き起こしてしまいます。
ほうれん草の裏ごしを食べた赤ちゃんが窒息状態を引き起こし、青くなって次々に死んでしまった。そのことから、
「ブルーベイビー症候群」と名付けられているのです。
これは1956年にアメリカで起こった事件で、離乳食としてほうれん草の裏ごしを食べた赤ちゃん278人が窒息を起こし、39名が亡くなったことから名づけられました。
1945年~1986年までの間に約2000件の事例報告があり、うち160名の赤ちゃんが死亡とWHOは報告しています。
これは葉野菜に残留する硝酸性窒素が赤血球の働きを弱めてしまうことで起こる症状といわれますが、「井戸水説」もあります。牧場の牛の糞に含まれる窒素が井戸水に染み込み、その水を使ったことが原因とされている説です。
また、硝酸性窒素そのものは問題ではなく、ホウレン草に使われた農薬が原因で起こった事件とする「農薬説」もあります。
どの説が正しいかの結論は出ていませんが、1994年北海道で起きた牛の窒息死事件は化学肥料を使った牧草を食べた牛が次々に死亡したものです。
※参考:『硝酸態窒素』http://smart2net.blog.fc2.com/blog-entry-546.html
また近所のスーパーで買った白菜を食べたヤギが死亡した佐賀の山羊三頭の死亡事件などをみると、「硝酸性窒素説」が有力なようにも思えます。
たくさんの硝酸性窒素を含んだ牧草を食べ窒息死する牛の数は年間数十頭という報告もあり、多い年は100頭を超えるともいわれるからです。
※参考:『野菜の硝酸態窒素』http://bsikagaku.jp/f-knowledge/knowledge27.pdf
硝酸性窒素説、井戸水説、農薬説、そのいずれにしろ、胃酸の分泌が弱く、分解酵素もまだまだ未熟な赤ちゃんが受けてしまうダメージは計り知れないものがある。
毒への耐性は体重に比例するわけだから、赤ちゃんの離乳食に葉物野菜を与える際は慎重に慎重を期し、食材選びを行う必要があるのです。
■世界一野菜好きな国民
硝酸性窒素はこうしたさまざまな健康被害を引き起こしてしまうのですが、その元は田畑で使われる窒素肥料にあります。
有機であれ化学であれ、窒素肥料を多く与えることで植物は根からどんどん吸い上げて葉に硝酸性窒素を蓄積するのです。
日本における硝酸性窒素は飲料水についての規制はありますが、野菜についてはありません。ヨーロッパでは基準値を設けて規制をしていますが、私たちの国では一切なし。
そのため日本人は世界平均の約3倍の硝酸性窒素を摂取している。そう指摘する声もあるのです。
(※参考:「硝酸態窒素の問題点と解決方法」:http://tifa-toyonaka.org/wp-content/uploads/kurashikan_report2012Kubo.pdf)
日本人は世界に類例がないほどの野菜好きな民族。種類も量も他と比べられないほど多い。
野菜は健康の元!
そうした刷り込みが摂取量の多さの背景にあるのでしょう。でも、野菜ならば何でもよい、野菜はたくさん食べれば健康だ。そうとはとても言えない状況があるのです。
葉に蓄積された硝酸性窒素は苦くてエグイ、味がします。そして硝酸性窒素の残留が多い葉の色は深くて濃い緑色。葉の厚みは薄く、背丈は高くなる。
重量は見た目より軽くなるのが特徴です。
これに対して同じ葉物野菜を食べて、旨みや歯ごたえを感じるのは、硝酸性窒素がアミノ酸に分解されている、処理済みの証拠になります。
アミノ酸といえば旨み成分の代表格でもあるので、食べるとうまい。そして硝酸性窒素は分解されているので、発ガン性や窒息などの健康被害への影響はなく、無害化されるわけなのです。
葉に残留する硝酸性窒素が少ないからこそ苦みもエグミもなく、ビタミンや糖の含有バランスも良い。
そうした野菜の特徴は緑が淡い黄緑色で、葉も小さく背丈も短い。葉は厚みがあり、歯ごたえが良い。そして手に持ってみると見た目よりは重さを感じる。
このような特徴があるのです。
■朝どり野菜はリスク!?
前章でも指摘しましたが、硝酸性窒素の多い野菜は虫や菌に食べられやすくなってしまい、腐敗しやすくなる傾向があります。
当然、虫や菌に対しては農薬が使われます。硝酸性窒素のリスクに加えて、農薬のリスクも加わっていることを忘れてはなりません。
窒素肥料を与えると葉が大きく肥大化し、丈も長くなり濃い緑色になる。一見、見栄えよく見えることから、
出荷直前に色づけとして窒素肥料を施すこともあるわけです。
葉に残留する窒素肥料が分解されてしまえば、葉の色が薄くて黄緑がかってしまう。黄緑では、売り物にならないからです。
出荷直前に窒素肥料を与えることは商品としての価値はあるのでしょう。でも、食べる私たちには危険なものになってしまいます。
未分解の硝酸性窒素が葉に大量に残ってしまいますから。
また「朝採り野菜」も鮮度が高く人気がありますが、硝酸性窒素の残留という面からみればリスクが高いものになります。
硝酸性窒素の分解には光合成で作られる糖分が必要なので、太陽の光を長く受けていた方が分解が進む。特に植物の光合成は午前中に7割~8割の活動を行うので安全性を思うのなら、朝採りよりも夕採りの方が安全というわけです。
同じ理由から、ビニールハウスで栽培された葉物野菜は太陽光線がどうしても弱くなるので硝酸性窒素の残留が多くなる傾向が見られます。
ハウス栽培よりも屋外で栽培された葉野菜を選ぶことをオススメします。
ココでまとめてとして「見分け方」を記しておきましょう。
葉物野菜はなるべく緑の濃いものを避け、色が薄くて淡いものを選ぶようにしましょう。
丈が長く葉が大きいものは肥料がたくさん使われ、残留している危険性があります。
丈が短くて葉が小さい、そして見た目よりも重いと感じるものを選ぶようにするのがコツになります。
■無肥料無農薬の自然栽培
そうは言うものの、
”そんな野菜どこにも売っていない・・・”
それが今の私たちの食を取り巻く状況なのでしょう。でも諦める必要はありません。肥料も農薬も一切使わない
「自然栽培の野菜」
があるからです。
”肥料を一切あげなくても作物は育つの?”
そう思われるかもしれませんが、自然の植物に肥料は一切使われていません。有機であれ、化学であれ、肥料がなくても元気に生き、翌年また翌年へと生命を繋いでいくわけです。
肥料も農薬も一切使わない自然栽培は、自然界の仕組みに習い、それを田畑と応用する農法です。
ただし、放任栽培というわけではなく、栽培にあたっては自然に対する深い洞察と知識が不可欠になるのです。
野菜にはそれぞれに適した環境があります。温度や湿度の条件もありますが、適した土も大切な要素。
化学肥料を使えば、どんな土でも作物を育てることができますが、自然栽培ならそうはいきません。
自分の畑の土質を見極め、そこに適した栽培品目を選ぶ必要があるのです。
例えば砂地で水を持つことができない土に、水を多く好むキュウリやナスなどを育てるのは難しいわけです。
また、粘土質の土壌では水はけが悪いので、水を好まないトマトなどの栽培は難しい。このように、
どの野菜が自分の畑の土に適しているのか?
これをきちんと見極めることが栽培成功の大切なポイントになるのです。
もちろん、最初は土に適した栽培品目から始まりますが、それと並行して土づくりを行っていく。砂地でも粘土質でも最終的な理想の土の状態を目指して土づくりを閉講させるのです。
理想の土の状態とは、
「水はけが良く・水持ちが良く・温かくて柔らかい土」
これを目指して土づくりを行うのです。
そのためには自然の土が何からできているのか?何を入れてはならないのか?
何が自然で何が不自然なのか?
これらを理解し、時間をかけて土づくりに励む必要があるのです。
無肥料・無農薬で作られた自然栽培の葉物野菜は、葉が淡い黄緑がかった色になり、葉は小さく厚みがある。そして丈も短くなるのです。
品種によって濃淡が出ることもありますが、薄くて淡い色が基本になります。
葉野菜に限らず、肥料も農薬も一切使わずに育った自然栽培の作物は、腐りにくく日持ちがする。自分の田畑から出た作物の残渣以外は土に何も投入しないし、化学合成農薬も有機認証で認められた農薬も一切使用しない。
味はあっさりしてはいるものの深い味わいを感じる人が多い。これまで述べてきた農薬や肥料の問題と無縁な健康な食卓づくりに貢献できる栽培方法が自然栽培です。
自然栽培販売店や通販などで売られているので、硝酸性窒素の問題などが気になるなら、一度試してみると良いでしょう。
■湯通しが基本!
自然栽培の野菜が良いのは分かったけど、そう都合よく買うことはできない。そんな場合は、
”どうすれば良いの?”
そんな声が聞こえてきそうですが、入手が難しければ、とにかく、
「生で食べない」
このことが大切になります。硝酸性窒素はお湯で湯がけば水に流れる性質があるので、サラダはやめておひたしなどを食べるようにすると良いでしょう。
このように有機肥料を使っているから安全とは言えない。それは硝酸性窒素の問題から分かることです。
肥料を使えば農薬が必要になり、腐りやすく硝酸性窒素の多い野菜になってしまいやすい。安全な野菜を食べるなら、肥料も農薬も一切使わない自然栽培の野菜を選ぶことが大切になるでしょう。
次章では野菜から少し離れて。、私たちの日々の食卓に欠かせない発酵食品について考えてみましょう。
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前章へ:有機野菜でも腐敗する理由は?全てをダメにする元凶はコレ!
■この章のまとめ
・緑の濃い葉野菜は窒素肥料過剰の色 ・葉野菜と肉魚の食べ合わせはリスク有 ・諸説あるが硝酸性窒素の心配がある ・肥料も農薬も使わない自然栽培を選ぶべき ・一般の葉野菜は生で食べずに湯通しすること |
■参考文献
・野菜の硝酸態窒素