デトックスの落とし穴・効くことが弱体化を招いてしまう!?

デトックスという言葉が定着しつつありますが、私たちはモノゴトの一面だけを見てジャッジする傾向が強いと感じます。メリットがあればその反対のデメリットもある。
今回はそのことについて述べてみます。
■目次
1、主と従の関係が乱れている!?
2、農業における転倒は農薬依存を招く!?
3、効くからこそ恐ろしい・薬剤依存の現状は!?
4、進歩にワナあり!無力化を一層促進させてしまう!?
5、過大評価と過小評価・両極をしっかり見極めよう!
「主客転倒」
主人とお客の立場が入れ替わってしまうこと。そんなおかしな現象です。
映画やドラマのテーマにもなりますが、それだけではありません。医療や農業においてもこの現象が見られるからです。
「主と従」の関係がすり替わることで様々な不利益が生じやすいものなのです。
■土が主役のはずなのに!?
農業において作物を育てるのは「土」。
土の力を思う存分発揮させることで、生命の糧を生み出していく。土は作物の栽培において基本であり、最重要のものでもあるわけです。
でも、それがいつしか肥料に取って変わられてしまっている。土が作物を育てるのではなく、「肥料」が育てるものへと変化している。
肥料とは土の力の足りないところを補う補助装置であったはずなのです。でもそれが土に取って代わるものへと栽培成り代わっているのです。
その結果、栄養のカタマリを土に大量に投下することが当たり前になり、土は汚れ、作物は虫や病気まみれとなり、たくさんの農薬を使わなくてはならない状況を招いているのです。
(※参考:有機野菜はひ弱で脆い・延命措置を繰り返す理由とは!?)
■医療でも同じ現象
これは医療も同じです。
医療は病気を治さない。治すのはあくまで患者自身である。患者自身の治癒力が高まるまでの、時間稼ぎが医療の役目。
医者やクスリや手術などが健康を回復させるのではなく、患者自身の治る力を引き出すための補助装置が医療の役目。
でもいつしか主客が転倒している。
患者自身が治すものから、医者やクスリが治すものへ
このようにすっかり変えられているのです。
医薬の世界では特効薬の特許を巡り、激しい開発競争が繰り広げられています。また医療機器も高度化しより精密な機器の開発争いが続いています。
競争が新たなシーンを切り開く!
こんな具合に医療の進歩が声高に宣伝されているのです。
でも、その一方で、
今のクスリの恐ろしさを指摘する声もあります。
昔のクスリは成分が粗く、正直あまり効かなかった。効き目が粗い分だけ、患者自身の治癒力を発動させるだけの充分な余地があった。
副作用も弱く緩やかなため、患者はまだ自分で解決するだけの機会を充分持つことができたのです。
でも、今のクスリはあまりに効き過ぎる。症状を激しく叩き、強力な力で抑え込む。
効き過ぎることのデメリットは、患者自身が自分で良くなろうとする力を奪うこと。薬剤に依存せざるを得ない状況を招き、クスリが切れるともはや自分ではどうにもならなくなってしまう。
依存体質になり、治癒力は低下する一方になる。
このようなマイナス面も指摘されているのです。
■慢性症状には無力!
軽いクスリから始まり、強いクスリ、さらに強いクスリへと依存状態が止まらなくなってしまう。
それは強い副作用のリスクをも抱え込んでしまうのです。医療の進歩と患者の無力化はセットである、そうした指摘もあるのです。
もちろん医療の全てを否定するつもりはありません。現代医療は急性の症状には確かに極めて効果的な面があるからです。
でも、ガンやアレルギーなどの慢性の症状に対してはお手上げ状態。どれだけ強力なクスリを使っても症状を抑えるばかりで、治癒には至らない。薬剤依存は進むばかりで、ひと時もクスリを手離すことができなくなってしまう。
このように薬物中毒と大差ない状況を招いてしまっているのです。
■デトックスのリスクは!?
そうした中、「デトックス」が注目され始めています。
これは症状を薬剤などで抑え込むのではなく、過去に体に入れてしまった異物や老廃物に焦点を充てるもの。異物や老廃物を体外に出すことで健康になろうという発想です。
考え方には大きな共感を覚えますが、疑問を持たずにはいられないような方法やグッズなど氾濫している。
そのようにおもってしまうのです。
デトックスと言えば、
「繊維質を食べよう!」
スローガンのようにこういわれます。
食物繊維を豊富に含んだゴボウなどの野菜をフォーカスされます。
野菜の繊維が体内の異物や老廃物を吸着して体外に出してくれる。そんな風に解説されるのです。
でも、体内に入った繊維質が毒素などの悪いものばかりを探し出して、それだけを都合よく体外に運んでくれる。
そんなことは起こり得ないことなのです。
繊維が体の中で意思を持って、悪いものばかりを見つけ出し外に出す。こんなの正直、漫画の世界です。排出力の強い繊維質は、良いも悪いも無差別に一緒に出してしまうものだからです。
繊維をたくさん食べて”毒出しをしよう!”は良いけど、体にとって必要なものまで一緒に排出してしまう。こうしたマイナス面もあるのです。
またデトックス需要のサプリメントなども売られていますが、食品添加物や原料に使われる農薬などはほとんど考慮されていません。
錠剤や顆粒の状態にするまでにはたくさんの人工の化学物質が使われるものなので、こうした点も見落とさずにしたいところです。
安易にサプリメントなどに頼れば毒出しのつもりが毒入れになってしまう。もちろん繊維豊富な野菜に使われる農薬の問題も忘れてはなりません。
メリットばかりに飛びついてデメリットを置き去りにしてしまう。良い面を過大評価して、悪い面を過小評価する。
健康情報や健康グッズにはこうした傾向が強く出るので注意が必要です。ブームに流されるのではなく、メリット・デメリットをきちんと見分けて判断を下す。
この姿勢が重要になりますね。
■このページのまとめ
・農業では土よりも肥料を重視 ・肥料多投が農薬多投を生んでいる ・医療の本質は患者の治癒力を高めること ・医療はあくまでサブの位置であるはずのもの ・薬剤依存では慢性病の治癒を遅らせ回復を難しくする ・繊維を多く食べれば無差別に体外へと排出してしまう ・デトックスサプリなどの添加物などには要注意 |
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