減塩主義が招くリスクは?塩と体の自然から増塩の必要性に鋭く迫る!

減塩は健康のもと。それが常識になっていますが、果たして本当か?体の自然と塩の自然を見つめれば塩との付き合い方が変わってくる。元気で快活毎日を実現するための手がかりは塩にあり!その点を考えてみます。
■目次
1、塩の量はそれぞれで違う!?
2、食卓に置かれた調味料のナゾ!?
3、塩の不足が招くリスクは何か!?
4、減塩で起こる知られざるリスクとは!?
5、海と体、その密接不可分な関係とは!?
6、化学塩と自然塩との違いはココ!着目すべきは!?
7、減塩志向が大量の食品添加物を必要とする理由は!?
8、全部一緒はやっぱりムリ!日本人には日本人の研究を!
塩をたくさん摂る。
体が欲するままに食べたいだけ。
そう言うと、
”キケンだな~”
”高血圧が心配・・・”
”脳卒中で倒れても知らないよ”
こうした声が聞こえてきそうです。
でも、体にとって塩は不可欠なもの。塩不足は心身ともに重大な事態を引き起こしてしまう。本来の塩をきちんと食べる。
それは私たちの健康にとって欠かせないものでもあるのです。
世間一般では、塩はキケン!これが相場なのでしょうが、果たして本当なのでしょうか?塩は悪いと無条件に決めつけてしまって良いものなのでしょうか。
ココでは自然な塩と不自然な塩との違いについて考えてみます。
■暮らしの中の知恵
日本の食卓。
そこには、塩や醤油、七味などの調味料が置かれています。
各自が自らの体調に合わせて、味つけができるように調味料が常設されている。アジア各地で見られる習慣といえるでしょう。
これは西洋ではあまり見られないもので、シェフが調理した料理に味を足すのは”マナー違反”。礼儀知らずの無法者、そんな風に思われてしまいかねないのです。
なぜ私たちの食卓には調味料が置かれているのか?推察するとズバリ!、
「塩分の調節のため」
そのように言えるのではないかと思うのです。
日本の伝統的な家族構成は三世代同居が一般的、そんな時代が長く続きました。今は普通ではありませんが、お爺ちゃん・お祖母ちゃん、夫婦、その子供が同じ家屋に同居する。
これが伝統的なスタイルといえるでしょう。
異なる3つの世代が同じ食卓を囲むとなると、それぞれが必要とする塩の量も違ってくる。
あまり体を動かさない老夫婦と肉体労働に勤しむ若夫婦、そしてワンパク盛りの子どもたち。それぞれに体が欲する塩分の量は違って当たり前なのです。
体を使えば使うほど汗とともに体内のミネラル分が流れ出ます。水分と塩分の補給をしっかり行わない限り、塩不足を起こしてしまう。それがどれほど体にダメージを与えるか?
私たちの祖先はそれを本能的に知っていた。だからこそ食卓に調味料を常設し、塩をしっかり摂れるように工夫しのはないか?と推察できるのです。
■塩不足が招くもの
塩分不足は体調不良を招きます。
心臓の働きが弱くなってしまうのです。
低血圧になるので、常にだるさと疲労感を襲われる。脳にいく血液も少なくなってしまうので、気力が萎えたり、ボケが進行しやすくなる。
塩不足は元気と活力を奪ってしまうのです。
かつて一向に口を割らない容疑者には塩抜きをすることで自白を引き出したとも言われます。体に充分な塩がないと、元気がなくなり無気力と疲労感でどうにもならなくなってしまう。
塩分不足は鬱状態を引き起こしやすいのです。
また塩分は新陳代謝の必需品でもあります。人は60兆の細胞からできていると言われますが、細胞が正常に機能するためには充分な塩分がなくてはなりません。
細胞は必要な栄養分を内部に取り込み、不要となった老廃物や不純物を排出する交換作業を繰り返しています。その交換をスムーズに行うためには充分な塩が不可欠になる。
塩分不足はこの作業を低下させてしまい、深刻な代謝不足を引き起こしてしまうのです。
さらに塩不足は筋肉や神経の反応が鈍くなり、さらに腎機能にも悪影響を及ぼしてしまう。低体温症に苦しみなど、重大な血行障害を発症しやすくなるのです。
私たちの体は常に必要な量の塩分を欲しています。古代ローマの兵士への給料はサラリウム・塩だったことを思えば、元気で快活に生きるための基本は、
しっかり塩分を摂ること。このことが大切になるのです。
■減塩がもたらすものは!?
心身の健康にとって大切な塩を、
私たちはいつしか”敵視”するようになっています。
塩の摂り過ぎは健康に重大な影響を与えてしまう。”減塩”こそが健康の秘訣。
”塩は極力控えるように!”
このように思っているのです。
塩分の摂り過ぎは高血圧症を招き、脳卒中などの深刻な症状を引き寄せてしまう。こう信じ込んでいるのです。
でも、問われるべきは塩全般ではありません。塩は塩でも、体にとって自然な塩もあれば不自然な塩もある。質の違いを無視して、”塩分は全部ダメ!”。
それはあまりに一面的でとても乱暴な議論ではないかと思うのです。
体にとってムリのない自然の塩を欲するままにしっかり摂る。塩は健康の元になるからです。
■体と海の関係は!?
私たちの体は原始の海を再現した構造になっていると言われます。
生命の起源は海、私たちはその痕跡を体内にしっかり留めているのです。
細胞内の体液も、血液も、赤ちゃんを浸す羊水も、海水のミネラルバランスとそっくりの構造になっていることが指摘されます。私たちの体の中には”小さな海”がある。
マグネシウムやナトリウム、カリウム、コバルトや亜鉛などの微量ミネラルが体内でバランスをとって保たれている。それにより体を健全に働かせることが可能になる。
そしてそのバランスは自然の塩を通して体内に供給されるものなのです。
実際に戦争などで負傷し、大量出血をした際の応急措置として海水は使われます。海水を薄めて血液の代わりにする、これは軍事の歴史からも分かることなのです。
また20世紀初頭にフランス人医師が病人に海水を薄めたものを注入し、コレラやチフス、リンパ腫などで苦しむ瀕死の患者を延べ50万人以上を救ったことでも知られています。
自然の塩を欲しい分だけしっかり摂ることは体内の海を健全に保つことでもある。健康で快活な毎日に欠かせないポイントであるというわけです。
■塩の違いに注目!
自然塩の塩化ナトリウム含有量は89.7%。残りの10%は60種類以上の微量ミネラルで構成されています。
これに対し、化学塩の塩化ナトリウム濃度は99.3%でミネラルはたったの2種類。
一口に”塩”といっても、中身はまったく違うものなのです。
化学塩や精製塩を使うなら減塩は必要です。自然界ではあり得ない異物を日々大量に入れてしまえば不自然な結果を招きやすくなる。脳卒中や動脈硬化を起こすのも当然の帰結というわけです。
”塩は悪い!”と頭から決めつけるのではなく、
「その塩がどんなものか?」
そこに意識を向けることが、減塩よりも遥かに大切になるのです。
■減塩と添加物の関係は!?
また減塩志向の加工食品を製造するにはたくさんの化学合成添加物が必要になります。
保存効果のある塩を減らしてしまえば、保存料や防腐剤などの食品添加物に依存せざるを得なくなるからです。
他にも、塩不足では味も素っ気もないマズイ食品になってしまうので、化学調味料や酵母エキスなどで旨み成分を補わなくてはなりません。
特に酵母エキスは少量添加するだけで高い減塩効果を期待できるので、様々な加工食材に”減塩”の名のもとに使われているのが現状です。
(※参考:『無添加食品・化学調味料不使用を謳う食材の小手先のゴマカシとは!?』)
化学塩は減塩が必要、でも自然の塩は欲しい分だけしっかり摂る。塩の質を省みない減塩主義は無茶な理屈で多くのリスクを孕んでいるのです。
■フードは風土!
減塩運動にしろ、栄養学にしろ、それらはあくまで西洋人のものであって、私たちに馴染まない考え方といえます。
それらは西洋という地域で長い時間をかけて作り上げられた”ローカルな食の体系”に過ぎないわけですから。
タンパク質・ビタミン・ミネラルという成分ばかりに着目した近代栄養学。それを日本に生きる私たちにそのまま当てはめることはできないものなのです。
日本の気候風土に即した食の体系を作り上げる、フードは風土、この姿勢が求められているのです。
食用植物が乏しく、動物性のタンパク質に依存せざるを得なかった西洋人。これに対して、植物が繁茂し豊かな食料資源に恵まれた私たち日本人。
肉や乳製品を多食せざるを得なかった西洋人と米や野菜を多く摂る私たちとでは塩分の量に違いがあって当然なのです。
食肉にはそもそも塩分・ナトリウムが一定程度含まれているので、ことさらたくさんの塩を摂る必要はありません。
でも私たち日本人はカリウムを多く含む野菜を日々口にするので、ナトリウムである塩をしっかり摂ることが大切。それは体内バランスを保つためにも必要な食べ方といえるのです。
牛や鹿、ラクダなどの草食動物が岩塩や土、鉱物などを舐める理由はカリウムとナトリウムのバランスを取っているから。それが大切なことを彼らは本能的に知っているのです。
今は栄養学が全盛とでもいうべき時代ですが、この栄養学も西洋からの輸入品のためどうしてもタンパク質へのウェイトが高いものなのです。植物由来の炭水化物をメインにする私たちとは違って当たり前のもの。
日本人には日本人の栄養学があってしかるべきなのです。
健康不安、食材汚染から身を守るためにはこの国の風土で育まれた食材や食べ方をしっかり踏まえること。伝統食にこそ、問題の解決のヒントがある。
やはりフードは風土、ここに行き着くのではないか?そんなことを思います。
■このページのまとめ
・塩の質の違いを無視した減塩はリスク ・塩不足は心身ともに健康被害を引き起こす ・体の中には海水のミネラルバランスとそっくりな構造 ・自然な塩をしっかり食べることは体の機能を健全に保つ ・西洋由来の減塩主義や栄養学は日本人には馴染まない ・安全な食卓づくりのポイントは伝統食をヒントにするのが好ましい |
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