尿素クリームが効果的な裏側とは?皮膚へのダメージの実態は!?

■目次
1、尿素配合の意味は!?
2、不足なら別の問題では!?
3、尿素のこの性質に着目!
4、一枚ずつ剥がされていく!?
5、最高レベルの乾燥剤の意味は!?
「尿素配合」
このような化粧品や医薬品が売られています。尿素が肌に潤いを与え、瑞々しい肌の実現に
“貢献してくれる”
こ
のような感じで化粧品などは売られているのです。お肌のカサつきやトラブルに悩んでいるなら、天然保湿成分の尿素配合クリームなら
「良いかも!」
こんな風に思ってしまいがちです。でも、尿素を使ったことによるデメリットはないものなのでしょうか?尿素さえ使えば、
“バラ色の未来”
が待っているとでもいうのでしょうか?
今回は、「化粧品」について考えることで、無投薬・無医療の生き方実現のためのヒントについて述べてみます。
■別の問題!?
化粧品メーカーが言うように、尿素は確かに人体にも存在する天然成分といえるでしょう。汗にも若干、含まれるといわれますが、特に尿に多くの尿素は含まれているのです。
タンパク質を分解する過程で、尿素は肝臓で作られます。そこから腎臓に回っていき、その大部分は不要物と判断されて、尿から排出されていきます。排出されずに残った尿素の一部が皮膚に回り、
「潤い成分」
の一角となる。このような循環になると思います。化粧品メーカーは皮膚の尿素欠乏が乾燥肌を引き起こす!というのですが、果たしてそうなのでしょうか?
タンパク質を食べれば、肝臓で尿素は作られるので、尿素不足で皮膚が乾燥してしまうなら、
“食事の問題”
と言わねばなりません。タンパク不足が尿素不足を引き起こすのだから、大豆を食べたり、肉や魚を摂取したり、その方がより自然でムリのない
「尿素補給」
のあり方といえるのです。
■尿素の性質は!?
尿素は水に馴染みやすい性質があります。化学では
「水素結合」
と言われますが、尿素には多くの水を引き付ける性質があるのです。化粧品に尿素を配合する理由は、この水素結合に着目したもの。肌の上に塗られた尿素が
“潤わせる”
この性質を利用したものといえるのです。そうであるなら、尿素によって引き寄せられた水分はどこから
「来たのか?」
この疑問が浮かび上がる。それは皮膚のバリア機能として私たちの体に備わっている、
“角質層”
の中の水分。それを吸着し、引っこ抜いたものといえるのです。肌の上に角質から抜かれた水分と尿素とが留まっている間は潤うことになるのでしょう。でも、そのクリームなどが落ちてしまえば
「どうなってしまうか?」
水分を尿素に奪われた角質層は、乾燥した状態になっている。尿素クリームなどを使えば使うほど、素肌の状態は
“乾燥の一途”
を辿ってしまう。こんな結果を招きやすくなってしまうのです。
■一枚ずつ剥がされ
角質層は、皮膚の一番表面を覆う層で、外部からの物質の皮膚内への侵入を遮断するのと同時に、体の中の
「水分の蒸発」
を防ぐ役割を果たしています。角質層は皮下で作られた皮膚細胞の中の核が抜け、死んだ状態になったものが
“10~15層”
も積み重なることで、分厚い層を形成しています。1個1個の角質は小さいものになりますが、それが相互に結びつくことで、隙間のないバリアを形成している。詳しくは角質の中のタンパク質・ケラチン同士が結びつくことで、強靭な壁を形成しています。これが
「ケラチン結合」
と呼ばれる現象です。角質1個ずつのケラチンはその横の角質のケラチンと結びつくことで、強度を保っている。これが皮膚の自然な状態で、バリア機能が保たれた状態と言えるのです。
でも、そこに尿素を塗り込んでしまうと、ケラチンとケラチンとの結合は引き剥がされてしまいます。ケラチンとケラチンとの結合よりも
“ケラチンと尿素”
との結合の方が断然強い。ケラチンは尿素に吸い寄せられるかのように結びつき、ケラチン結合を
「無意味なもの」
にしてしまう。こうして角質層は崩されていき、そこから水分が尿素に引き付けられて、奪われていく。このような結果を招くのです。尿素クリームを塗れば塗るほど、角質は破壊されていき、15層もあった高層建築が、平屋に向かって崩れていく。
一枚一枚はがされるかのように尿素とケラチンの強力な結びつきで
“壊されてしまう”
のです。そして使うほどに角質から水分が抜き取られ、
「乾燥肌」
が進んでしまう。甘い言葉には常に裏がある。とかく世に溢れる商品は、
“メリットばかり”
を強調し、デメリットについてはほとんど触れられない。こうした性質があるものなので、肌に潤い!なんて言葉を真に受けてはならないものなのです。
■強度最高の乾燥剤
尿素に配合クリームなどに一緒に使われているのが、
「合成界面活性剤」
になります。合成界面活性剤は強力な
“洗浄力”
を持った物質で、皮脂腺から分泌される皮脂を根こそぎ奪い去ってしまうほどの強力な洗浄力があるのです。また角質層を壊して、皮下に美容成分を送り込むための高い
「浸透力」
を持った物質です。これと尿素とを同時に使ってしまうと、
“最高ランクの乾燥剤”
になると『患者よ医者から逃げろ』(光文社新書)の中で、夏井睦医師は指摘するのです。皮脂は皮膚に1兆匹も生息しているといわれる
「皮膚常在菌」
たちのエサになる物質です。美肌の元といわれる表皮ブドウ球菌などが皮脂を食べることで、皮脂を脂肪酸と脂肪酸グリセリンとに
“分解”
していきます。そこに汗がにじむことで天然自然の最高の
「ナチュラルクリーム」
が肌の上に広がっていく。このようにいわれているのです。でも、合成界面活性剤で皮脂を根こそぎ取り去らってしまえば、表皮ブドウ球菌などのエサになるものがなくなってしまいます。
それは皮膚常在菌が肌の上に住めなくなることを意味しているのです。また皮膚常在菌たちは
“嫌気性”
の菌で、角質層と真皮層との間に挟まれるかのように生息することで、空気や酸素と触れずに快適に活動ができるのです。でも、合成界面活性剤の浸透力で角質層が破壊されてしまえば、常在菌たちは住めなくなってしまいます。
こうして乾燥が進み、潤いの元となる菌も皮脂も失われ、さらに尿素が皮膚の水分を奪ってさらに角質を
「壊していく」
こうした悪循環の引き金を引いてしまうのです。
とかく化粧品などは、耳ざわりの良いことばかりを盛んに宣伝してきます。知識がないと巧みな宣伝工作にまんまと乗せられてしまうので、本当に
“注意”
が必要です。甘い言葉には裏がある、そんな言葉を胸に、キケンな商品を遠ざける必要を感じます。
■参考文献
・『患者よ、医者から逃げろ その手術、本当に必要ですか? (光文社新書)』 夏井睦 著
・『ウソをつく化粧品』 フォレスト出版 小澤貴子 著
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