日本酒を飲むと頭痛がヒドイ!?先人に学ぶナチュラル健康学!

熱燗を飲みたい季節ですが、日本酒を温める理由はあまり知られていません。なぜ燗にするのか?そこには先人たちの深い知恵が秘められている。ココでは、その知恵に学び健康な毎日実現の秘訣について考えてみます。
■目次
1、熱燗に込められた暮らしの知恵とは!?
2、日本酒が杉樽に仕込まれた理由は何か!?
3、熱燗にすることで深いな症状を防止する!?
4、人体恒常性で気温と体温のズレを調節する!
5、体を動かし汗をかくことが健康快活の秘訣!?
お鍋の季節の到来。
そうなるとお供はもちろん日本酒ですよね。
飲ん兵衛はもちろんだけど、下戸の私もちょっとは飲みたくなる。全く飲めないあなたでも、日本酒は料理の基本調味料としても使われるわけなのです。
大学で武道を嗜んでいた私は酒席でよく、
”ビールを残すな!”
そう師範や先輩に厳しく言われたものです。理由は、日本酒は残しても料理に使えるけど、ビールは使い道がない。だから残すのは作法知らずの無法者!
ちなみにビールのラベルを上にして両手で注がないとこれまた鉄拳制裁の対象になったものでした。
それは余談でさて本題。
「酒は人肌の燗」
そのようにも言われます。熱くなり過ぎてもダメだし、反対に温る過ぎてもダメ。丁度良いのが人の体温と同じくらい。
そのように言われるのです。
熱燗は体を芯から温め、鍋などをさらに美味しく引き立ててくれる。でも、ただ単にそれだけではない。熱燗にはリスクを予防する先人たちの深い生活の知恵が込められているのです。
■杉樽と日本酒の関係は!?
蒸した米に空気中の麹菌を呼び込む。鎖状につながった糖分のカタマリがデンプン。麹菌が鎖を噛み切ることで糖になる。
そこに空気中から酵母菌がやってきて糖をアルコールと二酸化炭素に分解するのです。これが蒸したお米がお酒になるまでのストーリーです。
香り高い日本酒の深い味わいは菌たちの活動によって生み出されるといった次第です。
(※参考:『有機・無添加の発酵食品は高額だけど中身がない!?』)
菌を呼び込むために蒸したお米を入れておく最適な容器が「杉樽」。杉樽の中で菌たちが活動することで、日本酒へと醸成していくわけなのです。
なぜ杉樽なのかというと、答えは「油脂」。杉には「フーゼル油」と呼ばれるヤニのような成分が含まれている。
そのフーゼル油には防腐作用があるからです。こうした日本酒の完成度を高める目的もありますが、それ以外にも杉特有の木の香をも同時に楽しむ。
香り良き酒をさらに香り良くするために杉が選ばれた面もあるのです。
■熱燗で不快を防止!?
杉は杉でもどの産地の杉か?で等級が分かれる。
最上級品は吉野杉で肥後杉、秋田杉が二番手のものとして広く知られていたようです。吉野杉がなぜ重宝されたのかといえば、その独特の赤み。赤みの美しさが見事なことから珍重されたそうなのです。
繊細で細やかな先人たちの風情を感じさせますよね。
杉には防腐作用や香りづけといった良い面があるのですが、マイナス面もある。フーゼル油は頭痛のタネになってしまうからです。
日本酒を冷やで飲むと“頭が痛くなる”、それは杉樽を使うが故の宿命といえそうです。でもフーゼル油は加熱することで蒸発していく。
そこで熱燗にすることで頭痛のもとを飛ばして、酒を美味しく、翌日も元気でガンバれるように工夫した。つまり頭痛対策の知恵が「熱燗」というわけです。
体をポカポカにし、酒の香・木の香を失わず、頭痛も防止できる。人肌の燗、それはそのホド良い火加減を意味しているのです。
だからといって今も昔も、飲み過ぎは禁物。酒は飲んでも飲まれるな、忘年会シーズンを前にお互いに注意したいところです。
とはいえ、今の酒蔵で杉樽が使われることはありません。ほとんどがホーローや化学樹脂を使って作られているのが現状です。
そういう意味では今の熱燗は頭痛対策でも何でもなく、昔からの名残に過ぎず、ただ寒いから燗にしているだけといえるでしょう……。
■気温と体温のズレを調整!
人肌を好むのは日本酒だけに限りません。
私たちの体に棲み着き、運命共同体でもある人体常在菌たちも人肌を好むのです。私たち日本人の体は概ね36,5度になるように、体温がコントロールされています。
気温が上がれば汗をかくことで、体温が上昇し過ぎないように調節する。寒くなると、厚着をしたり食欲を旺盛にすることで気温と体温とのズレを調節しようとしています。
「食欲の秋」というように、気温の下降に併せて食欲が高まるのは体温調整の面もある。こうした仕組みが私たちには備わっているのです。
環境に応じて快適に生きられるように持てる機能を働かせる。変化に際してダメージを受けないように体温を一定に保つ力が働く。
これは「人体恒常性」の機能といえるでしょう。
体温を維持し、一定に保つことは、人体常在菌にとっても大切な事がらです。
私たちの体には100兆匹を越える常在菌が棲んでいます。菌がいることで私たちに様々な恩恵を与えてくれているのです。
常在菌が人の体に生息し続けていることは、人の体温を好むことを意味します。『人体常在菌のはなし』(集英社新書 青木 皐 著)には菌たちにとって快適な体温が記されています。
体内ですと37℃、体表だと36,5℃。反対に体内が36℃以下、体表が35℃にもなれば、常在菌は元気を喪うと記されているのです。
“低体温は要注意!”、そういうことになるわけです。
■発汗は健康の元!
常在菌は適切な湿気を好み、乾燥を最も嫌う。
だから常在菌たちは汗が大好き。汗をかくことで彼らの活動を活性化させることができるのです。
汗をたっぷりかくことで体内の新陳代謝を促します。腸もよく働くようになるから、美容や健康にとっても言うことなし。
体温は血液の循環によって保たれているという説もありますから、日々の継続した運動は基本になりますね。
現代人は汗をかくことを嫌います。汗はメイクの大敵なのでしょうが、いま一度、汗をかく重要性について確認しておきたいものです。
今回は熱燗のヒミツから、菌、体温、汗について考えてみました。
■このページのまとめ
・杉樽に日本酒を仕込むことで腐敗を防ぎ、木の香を楽しむ ・熱燗にすることでフーゼル油を飛ばし頭痛を防止できる ・現在の日本酒製造で杉樽ではなくホーローや樹脂が使われている ・私たちの体に共生する100兆匹の常在菌は35度の体温で活動低下 ・汗をかき筋肉を使い体も常在菌も元気にすることが健康の秘訣 |
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